飯塚市議会議員「えぐち徹」のつれづれ日記

飯塚市議会議員えぐち徹の足跡です。

片山善博さん

昨日からの清渓セミナー、そのスタートは行政刷新会議のメンバーでもある元鳥取県知事の片山善博さん。

たっぷり2時間、「地方分権とは何かを再度考える」という題でお話頂きました。

その概要をお届けします。

地方分権について。
ここ数年進展がほとんど無い。しかし、その認識が共有されておらず、変な地方分権が行われている。果たして、生活者としてあれが良くなったという分権の成果はあるのか?これがどこに行ってもない。俺たちが自由にできるカネを増やしてくれと言う自治体。国民・市民はまったく不在だ。知事達の知事達による知事達のための分権でしかない。リンカーンの言葉にあるように、人民の人民による人民による政治であるべき。

権力の霞ヶ関から権力の市長・知事に権力が移る。それが良いことなのだろうか。例えば、東京には、小中学校が2千校ある。400億円あれば、その2千校に、25年間常勤の図書館司書をおける。しかし、東京では、その400億円が新銀行東京に投入された。果たして、そんな知事にさらに権限、財源を渡すことを都民は望んでいるのだろうか。

都議会議員に話を聞くと、「本音は反対だけど反対できなかった」という。議会が是々非々で見識を示せないような状態なのに、更に強くするのは間違っている。首長の権限を弱め、議会の権限を強めるべきだ。そして、市民の政治参画機会の拡大が欠かせない。


行政刷新会議について。
大きなマニフェストを掲げて選挙を勝ち抜いた民主党と言えども、今まで通りの仕事に加えて、マニフェストを加えると財政規律が壊れる。そうならないようにということで行政刷新会議が作られた。また、税収が落ちているということも一因だろう。ここに来て税収が落ちたと言うが、そんなことはわかっていたはず。知っていて楽観的に今年度予算を作ったのではないか。

財源が、足りないのなら増税するというのも一手のはずだ。しかし、民主党政権は、4年間消費税増税はしないという。増税を皆嫌うが、政策の選択肢に持っていないといけない。増税してまで必要ですかと問いかけるべきだ。「できるだけ増税したくないけれど、その時には増税しないとならない。」というべき。

ところが、増税のカードを放棄したので、歳出カットだけをしなくてはならない。本来、これは財務省の仕事だ。しかし、財務省の能力が相当落ちており、できないという。だからしょうがないので、行政刷新会議ができた。


業務仕分けについて。
痛快のようで人気が高いのだが、やってよかった。今まで密室の中で知る人ぞ知るという状況だった。それが、ああやって白日の下にさらされると、その本質が見えてくる。そういう意味で良かったと思っている。

ただ、問題はいくつかある。冷静な議論ができない。国民の将来を考えるとやっていかないとならないような事業が切られている。ロケットなどもそうだ。また、読書活動推進もばっさり切られた。国がやらなくて良いというのも一理ある。しかし、市町村がやるべきだと言うが、国が着られたから市町村がふんだんに予算をつけてやるかというと、そうではないだろう。読解力リテラシーがどんどん落ちている。本を読んで理解する力だ。本来、読書力をつけるのは大切なこと。しかし、今やっている事業がだめだからと言って、切るのはどうか。

そのようなで問題があるが、今まで密室だったのがオープンになったことで、ひどい予算が見えるようになった。これが、政権交代の成果だ。

この事業仕分け自治体向けに開発された手法だ。議会が関与して議員自身がやるか、議会が仕分け人と共同してやるべき。議会がきちっと仕分けをするというのが、本来の議会だ。

というのは、自治体での事業仕分けの際、仕分け人は外部の人が就任するケースが多い。しかし、そうだと、デモクラシーが怪しくなる。自分たちのまちに必要な仕事は何かと言うことを自分たちで決め、負担を自分たちで考える。それがデモクラシーだ。

その負担を考えるのが市税条例。最終的に決めるのは議会。賦課徴収を決める権限、無駄な事業は何かというのを判断するのが議会の権限だ。しかし議会がそれをやらないから執行部が行っている。ああいう手法を議会が使って欲しい。これは二元代表制の下での議会のあり方だ。

しかし議会の実態はどうかというと、会派で与党だ野党だという。実にとんちんかん。与党野党というのは二元代表制にはない。与党野党があるのは、議院内閣制だ。与党が政府を形成するから、与党は政府を守るのは当たり前。対して野党は政府を攻撃する。政府の失敗は与党の敗退につながるというのが、本来の議院内閣制。

皆さん達、地方議会はそうではない。市長の応援者であっても与党ではないし、選んだのは市民だ。執行機関対議会だ。執行機関をチェックする役割だ。そのために選ばれている。それなのに、わしら与党だからと言って擦り寄る。そうすると、半数近くが与党になる。絶対権力は絶対腐敗する。長いことやると必ず悪くなる。議員は娑婆は老若男女だから議会も様々いて良い。

しかし、首長はそうではない。そういう権力をチェックするのが議会、好きでもチェックしなくてはならない。支えてやらなければならないからチェックしなければならない。身内が飲酒運転しそうだったら止めるでしょう。身体を張ってでも止めさせるでしょう。これと同じこと。与党と気取っている人こそチェックすべきだ。そうでないのは、息子が飲酒運転することを止めないのと一緒だ。

私が鳥取県知事だったときにも、与党という人もいたし野党という人もいた。しかし、その度にたしなめ、「予算は私なりに一生懸命にやっているけど、三千人も職員がいれば心得違いしている人もいるかもしれないので、議会で目を皿のようにして見て下さい」と言っていた。すると与党の人が減額修正を複数回やってくれた。知事なんてひとりで、予算の全てはわからない。だから全て透明化して全面公開した。なぜこの予算を切り子の予算をつけたかをHPで公開した。すると多くの意見が寄せられた。

透明化とチェックが重要。

これを事業仕分けでやっている。ぜひ、議会活動として事業仕分けをやって頂きたい。それで市長が「俺に対する挑戦か」というなら応援止めた方が良い。国は、議院内閣制でやっているから、与党は予算査定の中でやっている。野党は国会でやったらよい。政府が作った予算を国会でしっかり見つめ直すのが野党の仕事。それをしっかりやると国民も見ていて、「ああ、いいな」となる。それが議院内閣制。

しかし、地方議会は与党野党の関係ではないので、予算査定の段階で入れろと言うのは間違い。予算が提出された段階で、しっかり議会活動として事業仕分けを行うべきだ。