飯塚市議会議員「えぐち徹」のつれづれ日記

飯塚市議会議員えぐち徹の足跡です。

本会議終了、私はなぜ政務活動費の復活に賛成したのか。

5日から始まった9月議会も今日で終了。執行部から提案された補正予算を含む全ての議案を原案可決しています。また、新聞報道にもあったように、議員提出議案として、「飯塚市議会政務活動費の交付に関する条例」を友好会派の方々と提出し、今日の本会議で、賛成14に対し反対13の僅差で可決しました。

新聞にあったように、この条例は、23年度より廃止した政務調査費(今では自治法改正により政務活動費と言います)を再度、導入しようというものです。

全会一致で廃止したものを再度導入(まあ、復活ですね)しようというものですから、もちろん、議会内でも意見が大きく分かれました。

私は、今回の政務活動費に関しては、議員活動に必要不可欠と考え、賛成討論をした後、賛成としました。

録画中継がすぐにアップされていれば、それを見て頂ければよいのですが、残念ながら、それはちょっと時間が必要ですので、実際の討論とは少し違いますが、その原稿を以下にアップします。
(※現在、録画中継がアップされています。http://www.ustream.tv/recorded/39397445 この議案の審議は、25分45秒程度から、私の討論は1時間02分50秒程度からです。)
全会一致としたものを、なぜ、復活したのか、なぜ私が賛成したのか、ぜひ、読んでいただき、ご意見を頂ければと思います。

それではどうぞ。

私は、「議員提出議案第11号 飯塚市議会政務活動費の交付に関する条例」に賛成の立場から討論致します。

そもそも、この政務調査費は、地方分権一括法の施行等により地方議会やその議員の活動がより重要となったことから、2000年(平成12年)の地方自治法改正により制度化されたものであり、2001年(平成13年)以降、各自治体で導入が進んだものであります。
飯塚市においても、平成13年第1回議会にて条例制定し、13年4月より、月額5万円の年60万円で支給を開始しました。
その条例制定にあたっては、近畿大学九州工学部教授 永原氏、飯塚青年会議所理事長 井上氏、市民オンブズ嘉飯山事務局長 手嶋氏、飯塚女性ネットワーク代表 豊福氏、株式会社サイバービーイング代表取締役 末武氏、連合遠賀川地域協議会嘉飯山地区委員長 原氏、以上、6名の参考人を招いて意見を聴取し、意見を入れ修正可決してました。

その際の参考人の意見を今回の条例提案に先立ち、再度、読み込みましたが、誰1人としてこの制度に反対する方はおられませんでした。ただし、その透明性の確保に関してなど、いくつかのご指摘を頂いております。
そして、そのように議会だけの意見だけでなく、様々な立場の方の意見を考慮してできた条例は、議会の説明責任を果たすため、情報公開を待つのではなく積極的に情報を提供することとし、具体的には議員・会派から議長に提出される収支・実績報告書の公表を議長に義務づけており、参考人の意見を入れ領収書等証拠書類を1円から添付するよう義務づけたことも含め、現在でも十分通用する優れた条例だったと考えております。

そうして成立した政務調査費ですが、その後、合併に際し、在任特例を採用したので、在任期間については、旧市の議員は金額据え置きの月額5万年額60万円、旧町議員は月額3.5万の年額42万円としました。

しかし、都道府県を中心にした領収書の添付を義務づけない不透明な条例や、実際の使途が議会活動とはかけ離れた事例が問題視され「第二報酬」と批判されるようになり、議会リコールの後は、財政非常事態宣言中であることを考慮し、議員提案により、平成19年8月から月額を20%1万円減額の4万円、年額48万円としました。

その後、我が飯塚市においても、残念ながら実際に収支実績報告書や領収書をチェックされたオンブズパーソンの方々や新聞といったマスコミによって指摘された使途が問題視される事例がでてきたこともあり、厳しい財政状況とあわせ、議員提案により平成23年度より廃止としたものであります。

その際には、自社物件に事務所費を支払っていたことやカーナビ等を購入した事例が新聞でも取り上げられ、市民の批判を浴びたことは皆様のご記憶の通りです。

当時の賛成討論の中でも、これは日本共産党の楡井莞爾議員の賛成討論の一部ですが、ご自分達は政務調査費を広報費、資料費、事務所費に充てているとした上で、「資料費は例えば鯰田工業団地造成や明星寺地区の採石場拡張と産廃施設にかかるものなど、情報公開請求などによって、国や県、市から膨大な資料を入手し、毎回の質問に生かすことができました。このことによって市民の皆さんへの情報資料の提供、市民の皆さんの運動を励ますことに貢献できたのではないかと思っています。」、「私たちは政務調査費を目的、使途基準に基づいて議員活動の経費の一部として生かし、住民が主役の立場で議員活動に大いに頑張っています。私たちは政務調査費はもともと税金から支出されており、議員の活動を通じて、住民の皆さんに還元されるべきものと考えます。」と言われて、ご自分達が正当に使ってきたことを主張された上で、しかし、「一部議員に新聞報道で指摘を受ける事態があり、市民の批判が高まる中で廃止議案が提出された以上、我が党は賛成するものです。」と討論を結ばれました。

つまり、住民の皆さんに十分還元してきた。役に立っていたんだ。だけど、一部の議員が問題を起こしたことで信頼を失ったがあったので廃止という提案があった以上、賛成すると言われています。

また、他の賛成討論でも、「全国的に使途の問題、領収書の添付の問題、また金額の面など、第2の報酬などと様々な批判が噴出しております。」と市民の批判を受けて廃止すべきという意見、更に「昨今の経済情勢の悪化、本市の厳しい財政状況を鑑みたとき、市が推進しております行財政改革に我々議員も寄与すべきと考え」廃止すべきと言う意見が述べられています。

当時であっても、あれは一部の議員の事だからとして、議論せずにそのまま制度を続けることさえもできたでしょう。

しかし飯塚市議会は、この政務調査費を廃止としました。これは、ある意味、議会としての浄化能力の発揮だったと考えております。
他方、別の見方をすれば、選挙を目前にして、市民の批判に耐えきれず、市民に寄り添う、市民の意見に流される判断をしたとも思えます。

市民の皆様は、議員は、立場が強くワガママなものだなと思っておられるかも知れませんが、案外、弱い存在なんです。個々の問題に対して、是々非々を旨としながらも、市民にどう見えるかということを気にしながら、日々の活動、そして議会での活動を行っています。
私は当時、市長選に出るために辞職しており、議会にはおりませんでしたが、じゃあ、その時、議会にいたら?どうしたでしょう。

自分から提案することはなかったと思いますが、実際に提案されたら? 当時でしたら、第二報酬という批判もある。現実に飯塚でも批判を受ける事例が出た。じゃあ、一旦廃止して出直すのもありだろう。選挙もあるし、市民にとっても、思いを議会が受け止めたと考えるし、それがいいだろう、そう考え、私も賛成していたと思います。

当時、私は議員ではありませんでしたが、そういう思いでの全会一致での廃止であったと捉えていますし、全く否定するものではありません。

しかし、現在は、別の考えを持っています。
議会に戻り、市政の諸問題に触れる中で、本当にこのままでよいのか、疑問に思うようになりました。

我が飯塚市も、合併によってさらに広範囲になりました。多くの公共施設を抱え、その維持に四苦八苦しております。人口構成を見ても、少子高齢化は進み、最近発表された地価を見ても、落下率も大きく、固定資産税、市民税と言った税収の伸びも期待できません。
また、市民生活は多種多様になり、問題は山積しています。もちろん、分権の流れもあり、議会に求められる立法機能、チェック機能の水準は高くなるばかりです。
その時、このままで議会は、市民の皆様の期待に応えられるのでしょうか。

そのようなことを考えたからこそ、自治法が改正され、政務調査費、現在の政務活動費が制度化されたのです。

そして、平成13年の制度化以降、10年にわたり、議員活動を支えてきました。他の優れた自治体の視察はもちろんのこと、現在審議会で検討中の自治基本条例についても、九州大学大学院の木佐教授をお招きして、勉強会を重ね、更に市民にも開かれたシンポジウムを開催することができたりと言ったことも、政務調査費によって実現したものです。
先ほど紹介した共産党の楡井 莞爾議員の討論にあったように有形無形なカタチで、政務調査費は、議員活動を支えてきたのです。

廃止を提案し、全会一致で賛成された皆様の思いは、市民のためにということであったと信じておりますが、結果としては、自らの仕事であるチェックや提案という機能を削ってしまったのではないでしょうか。

正直に言いますが、私は実際に議会で活動するにあたって、政務活動費は不可欠であると思っています。今でさえ、欲しいと思っています。
制定初年度の平成13年度の、私の政務調査費の収支実績報告を今でも私のHPにアップしていますが、その支出金額は、1,195,265 円であります。市民の皆様からお預かりした金額が60万円ですので、おおよそ同額が自腹であります。
これは、あくまで政務調査費の枠内での活動であり、研修のあとの懇親会の費用等は入っていません。それでさえ、こんな金額がかかっていました。

サラリーマン家庭に生まれ、議員になる前は市職員。当然、裕福であったわけではない私が、これだけの支出が出来たのは、当時私が、独身であり、親元に住んでいたからでもあります。

しかし、現在は結婚し、家庭を持ち、2人の子どもがいます。その中で、家庭にかかる時間も増え、当然、政治にかけられる時間も少なくなりました。他方で、報酬は変わりませんから、親のすねをかじっていた当時と比べ、お金にも余裕が無くなってきています。加えて、政務調査費が無くなり、さらに厳しくなりました。時間をお金で買おうにもそれもできない。そうしてもっとやりたいと思いながらもできないジレンマに陥っています。

あれもやりたいこれもやりたいと思いながらも、出来ないでいる自分がいます。その点、非常に歯がゆく思っています。

議会の本来果たすべき役割とは何でしょうか。
私たち議会の仕事は、大きく執行部のチェックと政策提案に分けられます。執行部の予算執行に対し、充分な調査を行い不要な予算を削る。またチェックだけではなく、執行部だけでは気づかない住民ニーズを掘り起こし、対応を促すことにより市民生活を守る。それが本来の役割です。
議会が機能しないことこそ、大きなムダを生みかねません。

政務活動費を制度化した自治法の改正当時の国会における趣旨説明でも「地方議会の活性化を図るためには、その審議能力を強化していくことが必要不可欠であり、地方議員の調査活動基盤の充実を図る観点から、議会における会派等に対する調査研究費等の助成を制度化し、あわせて、情報公開を促進する観点から、その使途の透明性を確保することが重要になっております」とあります。

求められているのは、議会の審議能力の強化なんです。

飯塚市の予算は、特別会計企業会計をあわせると総額1241億円にも昇ります。その1241億を、28人の議員数で単純に割っても、1人が44億円もの責任を負うこととなります。

私たち議員に、議会に求められているのは、この巨額なお金が本当に大切に使われているのか、効果的に使われているのか、市の行く末は大丈夫か、しっかり判断することです。

更に、チェックだけではなく提案が求められる時代です。まずチェックするだけでも、知識が必要ですし、知識だけではなく現場感覚も必要です。ある一つの問題を考えるときでも、他の自治体の状況を調べ、飯塚市の状況を調べ、比較し、専門家の意見を聞き、解決策を考える。その全ての行為にお金はかかります。
そんな活動の一つ一つとっても、どれ一つとして費用のかからない活動はありません。
それを支えてきたのが政務調査費であり、今回提案させて頂いている政務活動費です。

決して、政務活動費は第二報酬ではありません。

今述べてきたような議会に科せられた大きな責任を果たすために、議員の活動を支える制度、必要不可欠な制度であります。

ただ、私たちは、単に復活させようというのではありません。以前への反省を含め、他にはない、市民を含めた第三者機関によるチェックという、不正をただす仕組みを入れた上で、再スタートを切ろうというものであります。

その第三者機関については、政治倫理条例にある政治倫理審査会の仕組みを参考にし、有識者と公募委員の人数を同数とし、市民感覚が反映されやすい仕組みとしています。また市民がおかしいと感じたときには、政治倫理条例同様、調査を請求することができることとしています。もちろん、この第三者機関の政務活動費審査会で不適当とされた場合には、市長が変換を命じることが出来る仕組みとしており、市民のチェックは大きく前進しました。更には、男女の比率についても、配慮しています。
また、飯塚でも問題となった事務所費、そして他の自治体で問題が多い人件費についても、使途から外すなど、前回の条例から、更に厳しい内容となっています。
私たちは、この条例は、他の自治体と比較しても、全く遜色ない、他のお手本にもなりえるものとなったと考えています。

私たち議会は、前回の反省に立ち、同じ事が起きないような仕組みを盛り込みました。
その上で、ぜひ、議会として、本来の活動がしっかり行えるような環境整備をさせて頂きたいのです。

更に付け加えますと、このような議員としての活動が経済的に制約されかねない状況の中では、多種多様な人材が議会に出て来ることは難しくなってしまいます。
政治に興味を示し、思いを抱いた方がおられても、この現実を知り、家族の生活を考えると、現役世代が職をなげうって立候補するのは厳しく、会社経営者や資産家と言ったお金持ちか、退職した世代などしか、議員にならない状況にさえなりかねません。

しかし、そのような方だけで構成される議会でよいのでしょうか。議会は市民の代表であり、多種多様な人材から構成される方が良いと考えます。

次の議員が活動できる環境を整備するのも、現在の議員の責任だと考えます。また、その点を市民の皆様も支えて頂きたいのです。

市民の皆様におかれましては、厳しいチェックをしながらで結構です。
今しばらく、議会を見守って頂きたい。その時間を頂きたいと思っています。
ネット中継も始まりました。その中で私どもの活動が皆様の思いに応えるものであるかしっかり、見て下さい。そして不満でしたら、ぜひ新しい人材を、素晴らしい人材を議会に送って頂きたいのです。

議会の活性化とは、そうして生まれるのではないでしょうか。

以上、長くなりましたが、市民の方々にもこの制度の必要性をぜひ理解頂きたいし、同僚議員にも理解頂き、この議案に賛同頂きたい、そう申し上げ、私の賛成討論といたします。

最後までお読みいただきありがとうございました。