図書館+ツタヤ(TSUTAYA)+スターバックスという図書館の世界に革命をもたらしたとも言われる武雄市図書館。賛否両論はありますが、利用者数などの数字から見ると素晴らしい成果を上げています。
何より、図書館という概念を壊し、新しくつくりなおしたことが大きな成果ではないでしょうか。
その武雄市がまたまた新しいチャレンジをはじめました。今度の舞台は教育。おちこぼれをなくそうと言うかけ声の下にタブレット端末iPadを使った授業に取り組みはじめています。
その「反転授業」の公開授業が行われるというので、武雄市長からの呼びかけもあり28日に武雄市立山内東小学校へ行ってきました!
2時間弱かけて会場の山内東小学校へ。着くと駐車場となっている運動場は車でいっぱい!
なんと、300名前後の方々が今回の公開授業を見に来られていたようです。
「反転授業」と言っても、なんのことやらわからん!と言われそうなので、まずは説明を。
これまでの授業と家庭学習の関係が、「授業で基礎知識を学んでから、家庭学習で復習をする」だったのが、→「家庭で事前に予習をして、学校で確認し更に応用する」というカタチに180度変わっているのです。この関係の逆転を称して「反転授業」と言うそうです。この反転授業、アメリカで始まったとも言われており、国内でも取り組んでいる所は他にもあります。
詳細は、武雄市教委などをご覧頂きたいのですが、武雄市では、この反転授業に取り組むにあたり、タブレット端末を使っています。武雄市では、この授業に際して家庭学習の道具として、全員にタブレット端末iPadを貸し出しています。つまり子ども達は、家庭でiPadを使って予習をしているのです。
では、現場の様子を紹介しましょう。
公開授業は、5年と6年の以下の各2クラスで行われました。
5年1組:理科「もののとけ方」
5年2組;算数「割合」
6年1組:理科「てこのはたらき」
6年2組;理科「てこのはたらき」
300人もギャラリーがいるので、どこの教室もチョー満員!
また見に来た人も多彩で、幼稚園関係者から大学関係者まで、更には各地の議会、教委をはじめとする行政、またテレビを含めたマスコミも多く来られていました。
私は、前半は6年生の理科を、後半は5年生の理科を見せて頂きました。
今日の公開授業、その後の説明会の様子からも、動画などを使ったコンテンツはわかりやすく、子どもにも好評とのことが見て取れました。
また、全ての子どもが事前に家庭で学習してきています。そこで、私が注目したのは、家庭での学習の課題をどう渡すか、つまり宿題をどうやって出すかということと、そのチェックをどうやるかです。
通常でしたら、授業のボリュームから考えるとプリントを配ってさせるにしても複数枚が必要です。その準備も大変ですし、配るのも大変。そして提出させるにしてもそのチェックが大変です。
それが、この取り組みでは、子どもが備品庫からiPadを取り出し、自分の名前とパスワードでサーバーにログイン。宿題をダウンロードしておしまい!そこまで1分足らずです。さらに宿題を提出するのもその反対であっという間!先生は、誰が提出しているのか、更には正答率やその傾向はどうかということもわかるような仕組みになっています。
その前提で、理科の実験も行われました。この事前学習がないと、今日の45分の授業は2コマ必要だったと、担当された先生が、説明会で言われていました。
授業自体ではiPadを使う場面はほとんどありません。ただ、この学校では電子黒板もあり、通常の黒板を併せて使って授業が進められました。
飯塚市の学校にも学校開放日などにお邪魔してその様子を見る機会もあるのですが、今日の授業を私の見た感じでは、武雄の方が、子ども達の授業に積極的に取り組む姿勢が強いと感じました。
もっとも、「iPadだから物珍しくって子どもが取り組むんじゃない?」という質問が出そうですが、この学校は複数年iPadを使った取り組みをやっており、6年生にもなるとiPadだから好評なのではなく、学習の仕方に興味を覚えていると言うことで、物珍しさからの脱却もできているようです。
また、この反転授業では家庭での予習に際して、子ども1人でするのではなく、親や兄弟なども巻き込むことも目指していると言います。
面白かったのが、その様子を紹介した次の言葉、「こども達はちゃんと予習してきた。更にその中の二人は親と実験をしてきた!また二人は兄姉に相談した‼︎ただ、兄姉はわからんだって(笑)」
こんなことも副次的に目指している武雄市。武雄市は、この反転授業を含めた取り組みで、おちこぼれなしを目指すと言います。「言うが易し、行うが難し」と言うのは現実ですが、このITを活かした「反転授業」、九工大や近大もある飯塚市こそ向いていると考え、9月議会の一般質問で提案しました。
その答弁では、残念ながら市はまだ導入するつもりはないとのこと。ですが、このままあきらめても何も変わりません。ITを教育にどう活かすか、まだまだ勉強して提案します!
また、参考のため、公開授業の終了後に体育館で開かれた説明会の雰囲気がわかればと一部ツイッターでつぶやきましたので、以下に紹介します。
Q 予習してこなかったこどもは?
A してくるような教材を作る。また、それを受けとめ次回やってくるようにさせたい。また、行政としてできることを模索中。JCの協力で地域での対応を考えている。
Q 算数と理科なのはなぜ?
A アメリカで効果上がっているのがその二つ。また、企業の協力が得られた。算数は積み上げの教科、理科は動画が向いていることなどから。来年度は中学もはじめるので、他教科も取り組む。
Q 今後、どう市内の学校へ広げる?
A まずは算数と理科で丁寧にやっていく。その中で、どういうこどもに効果的かを詳細に調べ、じっくりやって武雄市なりの反転授業を広めていきたい。その後は他自治体にも広げて、コンテンツが深まると良い。
Q 反転授業で持ち帰った動画と今日の授業の繋ぎ方の工夫等は?
A 算数での繋ぎ方、予習での正答率2〜3割程度。10%引きとは何かという点がつまづきかと考え、そこをしっかり取り組んだ。また、予習することに疑問もあったが、音声付きの動画はわかりやすいと思う。見通しについても同様。
Q 反転授業で持ち帰った動画と今日の授業の繋ぎ方の工夫等は?
A 理科、どう事象に出会わせるかを考えた。実際の実験と上手く組み合わせたい。通常2時間続けて理科をすることが多いが公開授業だと45分。それができるのも反転授業だからかも。ただ鵜呑みにはできない。
Q 企業へ。コンテンツ作成の苦労は?また前回からの改善点は?
A(企業1) 苦労したのは短時間に量を教えるのが塾。しかし教え過ぎないのが学校。このバランスが苦労したが今日のこどもの笑顔を見て苦労しなきゃと思った。
改善点はナレーション。一本の動画を10分に収めるためにスピード上げた。見通しできたらそこで終えるようにした。
A(企業2) 苦労した点、学習コンテンツ作成ははじめてだったので未知数。授業で使うのに合わせるのが大変だった。また二回めの取り組みの今回、先生方との協議は前回より上手くできた。