飯塚市議会議員「えぐち徹」のつれづれ日記

飯塚市議会議員えぐち徹の足跡です。

本会議討論「100条委員会、調査終了に反対する。」


今日は、20日の本会議において、中心市街地活性化事業(ダイマル跡地事業地区)に関する調査特別委員会の「調査終了とすべき」とした委員長報告に対し行った反対討論の原稿を紹介します。
一部、言い換えたりしていますが、おおよそ以下の原稿に添って討論をしています。
よろしければご一読下さい。また、先日お約束していたように委員会資料を私の公式ウェブサイトにアップしました。こちらもご利用下さい。

以下討論原稿を転載
おはようございます。江口徹です。私は、ただいまの中心市街地活性化事業(ダイマル跡地事業地区)に関する調査特別委員会の委員長報告に対し、反対の立場から討論を行います。
今回、100条委員会の設置に至る大きな一因となったのは、今回の解体工事に関して、「株主という立場を利用して受注したのではないか、もしくは情報の面でも有利な点があったのではないか。」という点、更には、「この契約で不当に大きな利益を得たのではないか。」ということであります。
この点については、総務委員会での質疑、更には12月の私の一般質問においても、取り上げられましたが、そのような疑いは、一向に晴れることなく、さらには、「入札における飯塚市の監視、指導が見受けられず入札経緯が不透明であること」、「解体工事設計額のチェック体制が十分ではない」のではないかという点などが見えてくる中、市側の姿勢にも疑問を感じ、4億円以上の公費が費やされるこの事業に関し、その事業内容も含めてしっかり調査すべきとして、当100条委員会が設置されました。

そして、さきほどの委員長報告にあるように、様々な疑問点があぶり出され、また更なる疑問を生み出しています。

まず一点目は、「解体工事を受注した春田建設が特別な立場を利用して受注したのではないか、もしくは情報の面でも有利な点があったのでは無いか」という点であります。

委員長報告にあるとおり、今回の「事業計画書については初期経費の低減を図るため業者委託は行わず、建築工事に精通している事業協力者の春田氏とともに協議を行いながら、まちづくり飯塚が作成したもの」であり、「本事業における補助金額の上限」についても、「平成24年度事業に対する補助金の予算額は1億3800万円であり、その予算の範囲内での補助となる旨をまちづくり飯塚に伝えて」います。
また、永末委員から提出された資料にあるように、NPO法人筑前國シュガーロード飯塚宿の時代から(株)まちづくり飯塚になっても市との協議の際に、一番出席されているのは、春田氏であり、日によっては、春田氏だけが(株)まちづくり飯塚として市と協議している日も複数あります。
その中の一部を紹介します。
まず、平成24年12月19日、この時点では、補助金の申請書が出される前、つまり、三角設計も春田建設も、(株)まちづくり飯塚から仕事を受注する前ですが、この日の打ち合わせは、春田建設の応接室で行われます。
市の報告書には次のようにあります。

(H24.12.19作成)
(株)まちづくり飯塚とのダイマル跡地事業に係る打合せ概要
1 日時 平成24年12月19日(水)午後3時から午後5時
2 場所 春田建設応接室
3 出席 春田建設 春田社長、畑迫課長
     みすみ設計 三角社長
     市中心市街地活性化推進課 久保井

4 内容 別紙、工程表にて工程の説明を受ける。

春田氏)事業を26年の3月までに終わらせるには、年明けには、地盤調査及び建築設計に着手しなければ間に合わない。補助を受けるためには、工程表にあるよう4月の入札にしなければならない.設計の期間が1カ月程度になるが仕方ない。
市)土地所有が出来れば4月を待たず発注可能。
三角氏)建築確認申請許可は、建築の入札までには、間に合わない。建築工事の着手までには、間に合う。
春田氏) 工事等発注業務は、委託1本(基本設計、地盤調査、実施設計、現場監理)、工事1本(解体工事、建築工事)で発注したい。
市) 1本で出す理由が必要。業者の選定は?
春田氏) 表に出ない仮設工事等があり、工期もない。一体でしないと間に合わない。業者は、資格をもった中から選ぶ。

春田建設春田社長と畑迫課長、そして市側の間で、工事の発注時期や方法について協議がなされています。
同様に他の日の協議においても、建築・解体等に関して、多くの発言をされているのは春田建設代表取締役である春田氏であります。
また、市の報告書からも、市側は春田氏を(株)まちづくり飯塚の一員として対応していることが容易に読み取れます。
また、先に述べたように、事業計画書は、建築工事に精通している事業協力者の春田氏とともに協議を行いながら、まちづくり飯塚が作成したものであり、そのことを併せて推察すると、春田氏が、解体工事の予算等詳細を知り得る立場にいたのではないかということは容易に推察できます。

更に、入札方法及び業者選考についてですが、今回の(株)まちづくり飯塚の業者選考は、市の方針である、専門業者である解体での登録業者全社指名と全く違うものであることは言うまでもありませんが、他にも不可思議な点がいくつもあります。

市側は、平成25年12月19日の総務委員会において、市中心市街地活性化推進課長が、解体業者選定に関する会議録について、「ダイマル事業については、まちづくり飯塚に確認しましたが、会議の内容を記載したような会議録は作成していないとの回答を受けております。」と答弁をされています。
しかし、当100条委員会には、平成25年3月15日に開催された業者選定会議録なるものが、資料(委員会資料:P280-284 注意! PDF:190MB)として提出されており、その内容としては、選考基準ならびに選定業者、入札期日等が示されています。この点においても、市と(株)まちづくり飯塚の主張は食い違っています。

さらに、委員長報告にあったように、市は、この業者選定に関して、「指名選考基準を作成すること、対外的に説明できるように選定に当たっては正当な手続で実施すること、関係書類は適切に保管すること、また、特に談合と思われるような行為は絶対にしないことを、まちづくり飯塚に対して指導した」と主張していますが、(株)まちづくり飯塚代表取締役前田氏によると、以上の指導に加えて「市内業者から選考すること、契約規程の作成が必要であること、選考方法として経営審査評点や売り上げ実績を考慮した評価方法があることなどの意見をいただいた」と主張しておられ、双方の主張が食い違っています。

また、平成24年10月9日作成の市の資料(委員会資料:P307 注意! PDF:190MB)によると、「解体工事と建築工事を同一の業者としたい」という(株)まちづくり飯塚側、この際の出席者は前田社長と春田氏ですが、(株)まちづくり飯塚の主張に対し、市側は、「市事業の方針は、細分化し、専門業者に発注しなさいとなることは説明」とあり、市側の方針と、(株)まちづくり飯塚側の方針の食い違いが見られます。

また、選考基準の中に「3ヶ月という短期間に工事を完了させるため」とありますが、肝心の解体工事の直近の実績が、経営事項審査(委員会資料:P756-761 注意! PDF:190MB)表中完成工事高のとび・土工・コンクリート欄を参照を見ても、入札に参加された5社のうち3社が0円、もうまた受注した春田建設においても、僅か163万5千円であり、1億を超える解体・土木工事の発注先としては非常に心許ない状況であり、その選考基準は、会社全体の売上高を考慮するよりも、この解体が入る専門分野での売上高を問題にすべきであります。

また、最後に土木分野での評定点の上位5社となっていますが、これは解体が含まれる分野ではなく不自然な選考基準であります。これが、もし解体分野の入るトビ・土木・コンクリートの評定点による上位5社であると春田建設が外されることを考えると、春田建設を選ぶための選考基準ではないかという疑念もぬぐいされません。
事実、春田建設を解体の入札に参加させるべきではないという議論はなかったのかということについては、報告書には、前田氏の発言として「春田氏は以前から商店街の活動に協力していただいている方であり、入札についても積極的に参加するようお願いをしていた。」あり、当初より解体・土木工事の入札にも参加させる意志があったことが明らかになっています。

3点目に、入札及び契約を見ても、春田建設の入札金額1億4990万円と最低制限価格は1億4980万円は、僅か10万円の差であります。
また契約書と設計書の内訳金額を比較しても、本体解体工事では、
直接仮設工事9項目中6項目、直接解体撤去工事費18項目中17項目、産業廃棄物運搬費9項目中5項目、産業廃棄物処分費9項目中8項目、間接工事費11項目中10項目、
アスベスト除去工事では、直接仮設工事費6項目中6項目、アスベスト処理工事費6項目中6項目、機械器具損料5項目中3項目、産業廃棄物処分処理費5項目中1項目、副資材消耗品費6項目中4項目、環境測定費3項目中3項目、管理費4項目中2項目
その他共通仮設工事では、4項目中3項目が金額が同一金額となっており、更に、土木工事については、その全てが同一金額であり、情報の漏洩を疑わせるに充分な状況であります。
(関連記事 → http://d.hatena.ne.jp/gogo-eguchi/20140205 )

また、春田建設は、下請けの状況として発注状況の表を資料(委員会資料:P443 一番上の写真参照)として提出しておりますが、木造家屋解体として、600万円あまりの発注額が記載され、すでに174万円の発注がなされていることが備考欄に記入されていますが、今回のダイマル跡地事業地区に関する解体・土木工事の範囲内に、木造家屋は存在せず、木造家屋解体という項目については、ありえません。
さらに、同資料によると、土木工事として、飯塚道路に73万円あまりの発注が予定され、かつ自社施工分として、進入路整備386万4千円、進入路復旧243万6千円、駐車場整備118万6500円の合計748万6500円、自社施工分と下請け発注分と併せて、822万3565円が計上されていますが、契約書(委員会資料:P555-580 注意! PDF:190MB)によると土木工事は、税抜きでは484万円、税込で508万2千円であり、この資料が、信頼できるものであるか、疑わざるを得ません。

また同じ資料によると、春田建設が解体工事において自社施工しているのは、仮囲い工事123万9千円と仮置き場積み込み2次運搬の283万5千円の計、407万4千円だけであり、解体のほとんどは下請け、更に選定基準にあるアスベストに関しても全て下請けと、選定基準の際の考え方とかけ離れていることは明白であります。

また、補助金申請の際の設計書の妥当性についても、市のチェックがずさんだったのは報告書が指摘するところですし、今ではそれを確認するための書類さえ残っていない有様です。さらに契約金額についても、坪単価は12万円ですが、市の発注した解体工事において、鉄骨造りより高額となる鉄筋コンクリート造りの頴田小学校・頴田中学校の解体工事の坪単価がそれぞれ3.7万円、2.8万円であること。岡部委員の発言にあったバスセンター及び周辺の解体工事は、今回のダイマルの解体工事同様アスベストもあり、更に2倍強の面積にも関わらず頴田小学校・中学校の坪単価より安価だと思われること、等と比較すると、今回の設計金額及び発注金額が妥当であるか疑いを持たざるを得ません。

以上のことを考えても、入札および契約について更に調査すべき点があるのは明らかであります。
しかし、それにも関わらず、今回、当委員会は多数決により「調査終了」という判断をしています。調査終了にあたり、実質審議の概略を記した報告書をまとめましたが、この報告書はあくまで調査の概要をまとめただけのものであり、委員個人としての見解は含まれるものの、委員会として市長および執行部に対し、こうすべきだったとか、ここはおかしいと判断するという点はなんら含まれておりません。

本来、私たち議会は、立法機関であると共に、市長はじめ執行部の方々の活動を冷静に見つめ、事と次第によっては、厳しく指摘する「チェック」機関であります。そして、立法機能が充分に機能していないと指摘されている現在、「チェック機関」という側面こそ、最大の機能であり、市民から期待されているものであります。
しかし、今回、当委員会は、100条という議会での最高の調査権限を与えられたにもかかわらず、その権限を行使せず、疑念をそのままにしたまま調査を終えようとしています。

この状況を市民が見るとどう考えるでしょうか。
「やっぱり議会はそこまでしかできない」、「何かあるんじゃない?」として、議会を信用しなくなるかもしれません。また行政はどう見るでしょうか。市民同様、「議会はそんなものだ」と考え、甘く見て、同様なことが繰り返される恐れがあります。そして、不幸にして同様なことがあっても、我が飯塚市議会は、本来のあるべき姿を忘れ、今回の対処を見つつ、自己規制して、穏便にと、ことを納めるかも知れません。
結果、行政も信頼を失うこととなります。
このような議会が自分で自分の首を絞めることになりかねません。
そのようなことがないよう、再度、調査を尽くさなくてはなりません。議会が、議会の権威を示す、その存在意義を示すためにも、調査を再開する必要があると考えています。

繰り返しとなりますが、今回の解体工事に関して、春田建設代表取締役春田氏は、ダイマル跡地事業地区の解体工事に関して、事業計画の詳細に関して知り得る立場にありました。解体工事の業者選考・入札に際し、不自然な点が多くあります。今回の設計金額及び発注金額が妥当であるか疑いを持たざるを得ません。つまり、適正な補助金がいくらかという点は判明していません。
更には、今回の事業自体の採算性に関しての調査も、ほとんどあっておりません。
決算委員会でも、解体後に建設されるコミュニティビルの床購入とその使用方法に関して、有効性を疑問視する意見もありました。この点に関しては、全くと言って良いほど、当委員会において、調査はなされておりません。

私たち議会の最大の機能は、チェック機関であります。その点を十分お考え頂き、調査を継続する決断を皆様にはお願いしたい、その事を訴え、私の討論といたします。