飯塚市議会議員「えぐち徹」のつれづれ日記

飯塚市議会議員えぐち徹の足跡です。

人口減少社会にどう取り組むか。〜飯塚市編〜

今日の本会議での一般質問、出番でした。取り上げたのは、人口減少について。残念ながら市の認識は少々甘い気がしました。今日は、その一般質問に向けて作成した原稿を紹介します。参考になれば幸いです。




1. 政府は、骨太の方針の中で、「50年後(2060年代)に人口1億人程度を維持する」との中長期国家目標を設けるとしています。
しかし、現実は厳しいものがあります。
「2040年に20〜39歳の女性の数が49.8%の市区町村で5割以上減り、推計対象の全国約1800市町村のうち523自治体では人口が1万人未満となって消滅するおそれがある。」今年5月、日本創成会議・人口減少問題検討分科会の発表したこの推計に大きな衝撃が走りました。
飯塚市のみならず全国各地の議会においても質問が重ねられ、対策が矢継ぎ早に打たれようとしています。その中で、飯塚市はどう行動しようとしているのか。その対策は十分なのか、今日は飯塚市の人口について考える機会としたいと思います。
まず、本市の人口の推移について、戦後以降で結構ですので、ご紹介ください。


2. ちょっとぼやっとした数字ですので、この人口の推移をもっと身近に考えていただこうと思い、次のような数字をご用意いただきましたので紹介ください。
まず、昭和23年生まれの齊藤市長と、同じ23年にこの日本に生まれたのは何人で、当時の日本の人口は何人か。また、飯塚小学校の同学年は何クラスだったのか、あわせて当時の飯塚市の人口はおおよそ何人かをご紹介ください。
次に道祖議長、29年生まれの60歳はどうか。
続いて、私、41年生まれの48歳では、どうか。
次に議会での最年少永末議員、昭和54年生まれの35歳では、どうか。
そして現在20歳の平成6年生まれ、最後に平成25年生まれ、うちの二人目の子どももそうなんですが、この年代はどうか。以上、6人の年代についてご紹介ください。


3. ピークでは270万人いたこどもが、100万人近くに減っている。ほんとに少子化が進んでいるのがはっきりわかります。この人口の推移、近年の傾向についてお聞きします。まず、出生と死亡を原因とする自然動態、引越し等を原因とする社会動態、それぞれについてご紹介ください。


4. 飯塚市合計特殊出生率の推移ならびに出生数はどうなっていますか。


5. 県および近隣市町村の合計特殊出生率の推移はどうなっていますか。


6. 現在、子ども子育て会議という今後の子育て環境に関する審議会が開かれており、ときどき傍聴にお伺いしています。その中で今後の飯塚市の人口の推計が出されています。この推計について紹介してください。
また、昨日も永末議員の質問にでていました飯塚市の財政見通しにおいても人口推計の記述があります。この部分について、あわせて紹介ください。


7. 今後の飯塚市の人口の推移について、市として他になんらかの試算はありますか?


8. 次に社会保障・人口問題研究所の推計では飯塚市の今後の人口の推移はどうなっていますか。(若年者・生産年齢・高齢者別に)社会保障・人口問題研究所の紹介、日本全体の数字とあわせてお示しください。


9. 次に、日本創成会議の推計について、その概略と飯塚市に関しての推計がどうなっているかお示しください。


10. その中で、人口減少の要因について、どのように書かれていますか。


11. 結婚したくないわけではない、子どもがほしくないわけでもないと各種資料にはあります、しかし、晩婚化、未婚人口の増大、また子どもの数の減少等が重なって出生数の減少にいたっているということが各種資料からわかりますが、どう考えますか。


12. そうですね。福岡県の子育て等に関する県民意識調査報告書にも、理想の子どもの数と現実にもつだろう子どもの数の差や、経済的な理由による差が読み取れます。続いて人口減少が地域にもたらす影響についてお聞きします。その影響はどのようなものがあるのかご紹介ください。


13. では、どの程度の影響となるのか、市としての試算はありますか。


14. 乱暴な議論とは承知していますが、交付税算定の中で一人当たりいくらと言われており、その数字をベースにするといくらの減少となるのか紹介ください


15. では、これまで、飯塚市として人口減少問題についてどう取組んでこられたのかおききしていきます。まず、情報・問題意識の共有をどう図っているのか。庁内での協議状況について、また、市民・地域・企業等との問題意識の共有はどうなっていますか。


16. 次に、社会増に対する取り組みについて、これは定住促進策とよばれるものが該当すると思うのですが、主な事業とその目標、成果についてお示しください。あわせて、自然増に対する取り組み、婚活・不妊治療助成制度等が該当すると考えますが、主な事業とその目標、成果についてお示しください。


17. やはり、目標と成果についても、数字としては確立できておらず、これで十分とはとても思えません。では、他都市の取組について、注目しているものがあればご紹介ください。


18. 今後市として、この問題にどのように取り組むつもりかお示しください。


19. 創成会議の提案に国と地方で対策本部を立てるべきというものがあります。同様に、市としても、対策本部を立て、この問題に取り組む必要があるかと思いますが、いかがお考えですか。


20. この人口問題に対する方向性として創成会議の提案はどのようなものがありますか。またその提案について、市でも取り組めるものが多くあると考えますがいかがですか。


21. そのなかで、具体的な施策をひとつだけ取り上げますが、若年世代の経済的基盤の確保という項目です。そこには「若年・結婚子育て年収500万円モデルの検討」、そして「若者の雇用・生活の安定化」という2項目がありますが、その項目について紹介と、その妥当性についてお示しください。


22. 市民や企業等と情報を共有しながら検討するためには、市の持っている情報を積極的に提供する姿勢が必要だと考えます。国や一部自治体では、オープンデータといって、ITで利用しやすいデータ提供を進めていますが、飯塚市としてはどう考えますか。


23. 統計飯塚からというお話がありました。しかし、この人口減少問題を取り上げても、合計特殊出生率をはじめ、出産年齢・家族構成・社会動態では、転居先・転入元・理由など、・乗っていないけどほしい数字は山ほどあるんです。この情報不足は、もともと統計飯塚が冊子だったことが原因です。しかし今は、ITの時代。ネットにはいくらでも情報はあげられます。このような各種基礎データは、それは企業が進出を考える際だけでなく、市内の企業が今後の戦略を考える際の活動の基礎資料にもなります。もともと持っている資料を整理して利用しやすくするだけです。アップしていないことで、いつもいつも電話を受けて、情報公開だったらと話して、先方だけでなく行政でも何段階の決裁をして公開する、そんな手間とお金は企業にも行政にももうありません。整理して公開するほうが、市役所の活動にとっても、プラスになります。ぜひ、積極的に進めてください。


24. 個別具体の話をひとつ取り上げます。それは、学童保育における給食についてです。以前、穂波町では、夏休み期間に学童保育に給食を出していたと聞いています。そのときの経緯について、また合併してやめた理由についてお示しください。


25. 弁当を作っているのは誰ですか?多くの場合お母さんですよね。再開すると喜ばれると思いますよ。子育て等に関する県民意識調査報告書があります。この調査でも、配偶者の育児へのかかわり方についての不満点として、男性は「特にない」が最も高いのですが、女性は「日常の家事」が最も高いのです。行政が、弁当はお父さんとお母さんが交互に作ってくださいねといって、みんながしてくれるんならそれでもいいでしょう。でも現実的ではありませんね。このようなことを解消していくのが、少子化対策ではないでしょうか。
ある方のフェイスブックを紹介したいと思います。
「やっと盆が明けましておめでとうございます。盆の期間は学童も休みで、子連れで仕事に。夏休みって、なんのためにあるんでしょうか?毎日弁当作って宿題見て、普段よりすごい大変なんですけど?これはどこに言えばいいの?文科省?失礼しました。久しぶりに弁当作ってたらキレましたw 」という書き込みに対して、同感したお母さんからも、「 私も、苦痛の夏休みです!!日本全国のお母さんたち、同意見だと思いますが\(◎o◎)/」との書き込みがあっていました。
男性の働き方と意識を変えるのも大切ですが、それが実現するまでに社会で女性を支えるのも大切です。再考を求めます。
また、現在、子ども子育て会議において、来年度以降の子育て環境について検討が行われています。
この子ども子育て会議においては、この人口減少に対する検討はほとんどなされていないと思うのですがそのとおりですか?


26. であれば、この人口減少に関してどう対処していくのか、改めて検討していただきたいと思います。また、この会議の中で、教育・保育の提供地域の設定というのがあります。素案では、本市は、市内全域を30分程度で移動できる地域特性を勘案し、教育・保育等をはじめとした主要事業について「市全域」を提供区域とします。とあります。
つまり、幼稚園や保育園、子ども園などについて、筑穂の方でも頴田にしか保育園の空きがなかったら頴田に行ってくださいということです。でも、30分で移動できるといいますが、それは車が前提、これが成り立つんなら、学校も学童も、グループホームも市内全域を対象に作ればいいんです。でも、それも現実的ではないですよね。合併前は、1市4町の単位だったのが、合併によって、変わってしまったんです。
待機児童はいないと市は言いますが、このような対処によって生まれるものもあるでしょう。現実として、市が昨年11月に行った子育てに関するアンケートの調査報告書においても、「利用したいが保育・教育の事業に空きがない」という答えが、16.1%数にすると62名おられますし、保育園の先生方や地域の方にお話を聞かせていただくと「いや、待機児童はいるよね。」といわれることが多くあります。
この部分についても、しっかり再考していただきたいと思います。
また、保育料の取り扱いですが、現実の第2子以降か、それとも学校に行く前に限っての子どもの数でカウントするかで、保育料の取り扱いも変わります。まさに行政の縦割りがここではでていますが、こちらについても再考を求めます。
さて、最後の2つの自治体の事例を紹介します。
千葉県の流山市流山市の人口は、2005年の15万3千人から2013年には16万9千人へと増大。それも、10歳未満の子供と、30代〜40代の子育て世代が大幅に増加しているそうです。
これは、千葉だからだと言われるかもしれませんが、「母になるなら、流山市。」とうたってターゲットを絞って真剣に取り組んだ結果です。
流山市は、つくばエクスプレス秋葉原から20〜25分、「都心から一番近い森のまち」として緑に囲まれた生活環境の良さをアピールし、さらに保育所の定員を大胆に増やし、市の二つの主要駅から各保育所へバスで送迎する「駅前送迎保育ステーション」と呼ばれるシステムを作りだすことによって、子育て共働き夫婦の最大の心配事である保育所問題の解決を図っています。
もうひとつの自治体は、長野県南部に位置する下條村です。
人口10万人の飯田市から車で30分の下條村は、「子供がいる/結婚の予定がある」などの入居条件を課し、2LDK(20坪)で家賃は3万3000円。飯田市の相場の約半額という、村営の「若者定住促進住宅」を中心に大胆な少子化対策を進め、年少人口(0〜14歳)の比率16.8%は県トップとなりました(2010年)。「子供を育てられる環境」があれば、産みたいと思う若者は少なくないことを証明し、合計特殊出生率は1.86という高率となっています。
結果、人口約4000人の下條村が、1991年に人口減少が底を打って出生率は高水準を維持し、人口構成では60代と50代の次に10代が多い。少子化を食い止めた「奇跡の村」と呼ばれています。

このように、本気になって適切な対策を打てば、流れは変えられます。これは日本創成会議の提言の中にもあります。そして、この人口問題は、まちづくりの根本にあるものであり、これいかんで今後のまちの形が大きく変わってしまいます。
自治会をはじめとする地域、公共施設のあり方、職員採用、下水道などの汚水処理、財政問題といった行政の問題にとどまらず、民間を含めたあらゆる問題、すべての問題に関係しています。
残念ながら、その重要性についての認識が私たち議会を含めて不足していたように思います。まずは、行政として、対策本部を立ち上げ、分野を分けチーム編成をして、現状をしっかり分析すること、対策を検討し、それを庁内だけでなく、私たち議会、市民、企業等あらゆる関係者と協議を重ね、本気であることを示して、一緒に行動していくことが必要です。
取組みが遅くなれば遅くなるほど、人口は減少していきます。先送りはできません。いつやるのか、今でしょ!というのがこの問題の特徴でもあります。
そのことを早期に取り組むよう提言して、私の一般質問を終わります。