飯塚市議会議員「えぐち徹」のつれづれ日記

飯塚市議会議員えぐち徹の足跡です。

「ヒーローを待っていても世界は変わらない」by湯浅誠さん。


こんな時間(03:36)ですが、湯浅誠の「ヒーローを待っていても世界は変わらない」読了。
著者は、年越し派遣村の村長だった方で、その後内閣参与などを歴任。今は法政大学の教授という。去年だったか、一昨年だったか、コスモスコモンでも講演があった。
その際の問題提起の鮮やかさを今でも覚えている。


つい、図書館で借りてきたこの本だが、ぜひ多くの方に読んで欲しい。民主主義とは何か、社会を変えるにはどうすれば良いのか、示唆に富む。



彼は、冒頭で次のように書いている。

「民主主義とは面倒くさいものだ。そして疲れるものだ。その事実を直視することから始めよう、というのが本書の提案だ。」
また、「最善を求めつつ、同時に最悪を回避しつつ」とも。



本の題名にあるように、「ヒーローを待っていても世界は変わらない」という言葉が意味するものは何か。


格差・貧困が広がる中で生活と仕事に追われて余裕のない人が増えていきそれが不正義に対する義憤を嵩じさせて「強いリーダーシップ待望論」となり、切り込み隊長でもある水戸黄門型ヒーローを求める。


しかし、個人のニーズは多様化しており、政策となる段階では、1億2千万人の利害が衝突している。そしてそれは、誰がヒーローになっても、基本的には増えもしなければ減りもしない。どんな政策でも、それに賛成する人と反対する人が必ず出て来る。どんな政策でも、税金を使う以上、全員に関係する。


その時、ヒーローはどう振る舞うか。自分が進めたい事柄については、反対する人達を「既得権益のために反対しているだけ」だと言い、反対意見を無視し、即断即決で進めていく。自分が進めたくない事柄については、賛成する人達を「既得権益のために賛成しているだけ」だと言い、賛成意見を無視し、即断即決で止めていく。


その過程で、問答無用とばかりに、何かが切り捨てられる。そして、その「何か」が自分自身だったと後になって気がつく場合が出て来るのではないか。


決められる政治と言う言葉がもてはやされている現在だからこそ、この問いかけが大切だと思います。特に政治の現場にいる方に読んで欲しい。



【書籍名】「ヒーローを待っていても世界は変わらない」
【著者名】 湯浅誠
【出版社】 朝日新聞出版
【発行年】 2012年8月
飯塚図書館所蔵