飯塚市議会議員「えぐち徹」のつれづれ日記

飯塚市議会議員えぐち徹の足跡です。

飯塚市保育士修学資金貸付金条例案、福祉文教委員会では否決。

今日は委員長を務める福祉文教委員会。
議案は「飯塚市保育士修学資金貸付金条例」の一本だけだったのですが、委員会では長い議論を行った後、1vs5の賛成少数で否決となりました。
賛成者は、市民クラブいつか会の永末委員のみ、公明党の奥山委員、共産党の宮嶋委員、而今会の城丸委員、無所属の森山委員、新政飯塚の兼本委員は反対。


この条例案は市長の重要施策として新聞にも紹介されたもの。
おおよそ次のような制度です。
飯塚市内で保育士として働きたい学生で、近畿大学九州短期大学のような保育士養成施設に通う学生に修学資金(奨学金のようなお金)として、月2万円を無利子で貸し出す。
◎予算としては、35人×2学年×2万円×9ヶ月(7月からスタート、来年3月まで)の1260万円を想定。
◎35人というのは、近畿大学九州短期大学の1年の定員70名の半数を想定。
◎卒業後1年以内に市内の認可保育所認定こども園で働き始め、その後5年間働いたら、そのお金は返さなくて良い。
◎財源は、国や県の補助のない、市の単独経費



そして条例案の提案理由には次のようにあります。
「市内の保育所等で常勤保育士として業務に従事しようとする者に対し、修学を援助するための資金を予算の範囲内において貸し付けることにより、市内における常勤保育士を確保し、もって市内の保育所等未利用児童の解消に寄与するため、本案を提出するものである。」

その未利用児童(待機児童)を解消したいという目的は、委員全員も同じ思い。
しかし、その手法が違うのではないかというのが、今回の否決の理由です。


なぜでしょう。委員会では次のような点が指摘されています。
◎ニーズ調査がなされていない。
◎公立の保育所で働いても返さなくて良いと言うが公立の保育所は待遇が良い。待遇の厳しい私立だけに絞ってはどうか
(正規職員の平均給与:公立511万円 私立311万円 H26年度)
認可保育所認定こども園だけというが、企業内保育所や小規模保育所が出来た場合、そこでもよいのではないか。
◎貸し出す相手は市民かどうかは問わない。また保育士養成施設は、市内、県内でなくてもかまわない。というが、北海道の学生が北海道の養成施設に行くときでも受給可能。ここまで貸すのか?県の同様の制度は県内の保育士養成施設限定だ。
◎市内の保育所等で働いて返さなくて良いのは、月20日以上(6時間以上)とあるが、働き方が多様化している。8時間×15日などでもよいのではないか。
◎保証人が2人、うち1人は法定代理人(未成年の場合のみ)が必要だというが、1人親家庭や親のいない子どもなど厳しい家庭の子どもが受けにくいのではないか。
◎非正規労働が増え、奨学金を返せない方が増えているが、焦げ付くことが予想される。しかし、それは想定していない。
◎現時点で不足している保育士数もきちんと把握していない。
以上のような点を含め、準備不足がありありと見て取れました。


また私立保育園の保育士不足の原因は、厳しい労働条件と低賃金です。
もし、同じ1260万円の予算があれば、私立保育園の保育士に5千円を同じ9ヶ月配るとすると、280人に配れます。
これは、27年9月の私立の保育士数が正規200人と非正規163人の計363人という事を考えると2/3以上になります。
今、政府の方でベテラン保育士(全体の1/3以内)に月4万プラスしようという話が合っていますので、その方以外に配れるというわけです。


自治体独自の予算で保育士の待遇改善をやっている自治体は数多くあります。
よその自治体に保育士を取られないよう、飯塚もこの部分をしっかりやるべきというのが、反対した議員の理論です。


なので、賛成1人に対し反対が圧倒的多数の5人と言うわけです。


なお、この待機児童問題、私のHPで少し詳しく紹介しています。
書いたのがちょっと前になりますので古い情報かも知れませんが参考になれば幸いです。
待機児童問題 → http://eguchi-tohru.com/hoiku.html