飯塚市議会議員「えぐち徹」のつれづれ日記

飯塚市議会議員えぐち徹の足跡です。

児童虐待防止条例「飯塚市の子どもをみんなで守る条例」第1章

今日は、「飯塚市の子どもをみんなで守る条例」の第1章をお届けします。条例は5章までありますので、ちょこちょこと紹介します♪ちょっと難しいけど、読んで頂ければ幸いです。第1章の前の前文は、18日のブログへどうぞ♪


第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、児童虐待の防止等について、基本理念を定め、市、保護者、市民等及び関係機関等の責務を明らかにするとともに、児童虐待の防止等に必要な事項を定めることにより、児童虐待の防止等を図り、もって、次代を担う子どもの命を守るとともに、子どもが健やかに成長することができる社会の実現に寄与することを目的とする。
(定義)
第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
(1) 子ども 18歳に満たない者をいう。
(2) 保護者 親権を行う者、未成年後見人その他の者で、子どもを現に監護するものをいう。
(3) 児童虐待 児童虐待の防止等に関する法律(平成12年法律第82号)第2条に規定する児童虐待(身体的虐待、性的虐待、ネグレクト及び心理的虐待)をいう。
(4) 児童虐待の防止等 児童虐待の予防及び早期発見その他の児童虐待の防止並びに児童虐待を受けた子どもの保護及び自立の支援をいう。
(5) 市民等 市内に住所又は居所を有する者、市内に事務所又は事業所を有する個人及び法人その他の団体、市内に存する事務所又は事業所に勤務する者並びに市内に存する学校に在学する者をいう。
(6) 関係機関等 学校、児童福祉施設、病院その他子どもの医療、福祉又は教育に業務上関係のある団体及び学校の教職員、児童福祉施設の職員、医師、歯科医師保健師助産師、弁護士その他子どもの医療、福祉又は教育に職務上関係のある者をいう。
 (基本理念)
第3条 全ての子どもは、愛され、安全で安心な環境で適切に養育されること、その心身の健やかな成長及び発達並びにその自立が図られることその他の福祉を等しく保障される権利を有する。
2 児童虐待は、子どもの心身の成長及び人格の形成に重大な影響を与えるとともに、将来にわたって子どもを苦しめる重大な人権侵害であり、ひいては子どもを死に至らしめる危険をはらんでおり、これを決して行ってはならない。
3 児童虐待への対応は、子どもの最善の利益に配慮するとともに、子どもの安全を最優先に考えなくてはならない。
4 何人も、児童虐待を見逃さないよう努めるとともに、児童虐待のないまちづくりを推進し、子どもの安全と健やかな成長が守られる社会の形成に努めなければならない。
(基本方針)
第4条 児童虐待の防止等は、次に掲げる基本方針により行うものとする。
(1) 児童虐待の予防には子育て家庭を支えることが重要であることから、地域と行政とが連携及び協働をし、子育て家庭を支援すること。
(2) 子どもを児童虐待から守るには地域と行政とが一体となって取り組むことが必要であることから、地域と行政とが連携及び協働をし、児童虐待の防止等に係る取組を行うこと。
(市の責務)
第5条 市は、児童虐待を受けた子どもの安全の確保を最優先としなければならない。
2 市は、子どもの人権、児童虐待が子どもに及ぼす影響、児童虐待の予防のための子育て支援施策、児童虐待の通告義務等について必要な広報その他の啓発活動を行うものとする。
3 市は、子どもが児童虐待から自らの心身の安全を確保できるようにするため、関係機関等と連携し、子どもに対し、情報の提供その他の必要な事業を実施するものとする。
4 市は、警察、関係機関等及び地域社会による児童虐待の防止等のための取組に対する積極的な支援に努めなければならない。
5 市は、児童虐待の防止等に関する施策を推進するための具体的な年次行動計画(以下「年次計画」という。)を策定し、公表しなければならない。
6 市は、児童虐待を受けた子どもがその心身に著しく重大な被害を受けた事例の分析を行うとともに、親になるための準備、児童虐待の予防及び早期発見のための方策、児童虐待を受けた子どものケア並びに児童虐待を行った保護者の指導及び支援のあり方、学校の教職員及び児童福祉施設の職員が児童虐待の防止に果たすべき役割その他児童虐待の防止等のために必要な事項についての調査研究及び検証を行うものとする。
7 市は、前各項に定めるもののほか、児童虐待の防止等に関し、必要な施策を積極的に推進するものとする。
 (保護者の責務)
第6条 保護者は、児童虐待を決して行ってはならず、子どものしつけと称して、体罰を与えてはならない。
2 保護者は、子どもに愛情を持って接するとともに、子育てに関する知識の習得に努め、児童虐待が子どもの心身の健やかな成長及び人格の形成に重大な影響を与えることを深く認識し、子どもの自主性及び自発性を育む健全な養育に努めなければならない。
3 保護者は、子どもの心身の健康の保持、安全の確保等に当たっては、年齢に応じた配慮を怠ってはならず、特に乳幼児については、自ら心身の健康を保持し、又は安全を確保するための能力がなく、又は著しく低いことを認識しなければならない。
4 保護者は、子育てに関し支援等が必要となった場合は、積極的に子育て支援事業を利用するとともに、地域活動に参加すること等により、地域社会から孤立することのないよう努めなければならない。
5 保護者は、男女の別を問わず、子育てその他の家庭生活における活動について家族の一員としての役割を円滑に果たさなくてはならない。
6 保護者は、市又は児童相談所が行う子どもの安全の確認及び安全の確保に協力しなければならない。
7 保護者は、子育てに関して、市、児童相談所又は関係機関等による指導又は助言その他の支援を受けた場合は、これらに従って必要な改善等を行わなければならない。
(市民等の責務)
第7条 市民等は、児童虐待の防止等について理解を深め、児童虐待を防止するとともに、市が実施する児童虐待の防止等に関する施策に協力するよう努めなければならない。
2 市民等は、児童虐待の予防のための子育て支援に関する活動その他の児童虐待の防止等に関する活動に積極的に参加するよう努めなければならない。
3 市民等は、市又は児童相談所が行う子どもの安全の確認に協力するよう努めなければならない。
(関係機関等の責務)
第8条 関係機関等は、児童虐待を防止するよう努めなければならない。
2 関係機関等は、子どもを児童虐待から守るため、市が実施する児童虐待の防止等に関する施策に協力するとともに、互いに連携するよう努めなければならない。
3 関係機関等は、市又は児童相談所が行う子どもの安全の確認に協力するよう努めなければならない。
4 学校、児童福祉施設、病院その他子どもの医療、福祉又は教育に業務上関係のある団体は、児童虐待に対して適切な対応をするための体制の整備に努めなければならない。
(児童虐待の早期発見)
第9条 市、市民等及び関係機関等は、児童虐待の早期発見について大きな役割を担っていることを認識し、児童虐待の早期発見に努めなければならない。
2 市長は、関係機関等が児童虐待を早期に発見し、迅速かつ的確に対応するための指針(以下「早期発見対応指針」という。)を策定しなければならない。
3 関係機関等は、早期発見対応指針に従って、児童虐待の早期発見及び早期対応に努めるものとする。
 (人材の確保及び資質の向上)
第10条 市は、関係機関等が児童虐待を早期に発見し、その他児童虐待の防止等に寄与することができるよう、研修等必要な措置を講ずるものとする。
2 市は、児童虐待に関する通告、通報、相談及び情報の提供に応じる体制を整備するとともに、必要に応じて学校その他市が必要と認める施設に対し、心理、福祉及び法律に関する専門的知識を有する者を派遣して児童虐待に関する助言及び支援を行うため、その人材の確保について必要な措置を講じなければならない。
3 市は、職員に対して、児童虐待の防止等に関する教育及び研修を行い、児童虐待の防止等に関する施策について周知及び啓発に努めなければならない。
(児童虐待に係る通告)
第11条 市民等及び関係機関等は、児童虐待を受けたと思われる子どもを発見した場合は、速やかに、市又は児童相談所に通告しなければならない。
(情報の共有)
第12条 市は、児童虐待に関する情報について、児童相談所、警察及び児童虐待の防止等のために県が指定する拠点病院との適切な共有に努めるものとする。
2 市は、子どもの安全の確保のために必要があると認めるときは、児童虐待に関する情報について、関係機関等及び児童虐待に係る通告等をした者と共有することができる。ただし、通告等をした者との情報共有については、個人情報の保護に最大限の配慮をしなければならない。


簡単に紹介していきますね。
第1条では、条例制定の目的を書いています。「児童虐待を防止するためにこの条例をつくるんですよ〜」ということですね。



続いて第2条は、この条例で使う言葉を定義しています。



第3条は、基本理念として、まずは第1項で、子どもにもちゃんと人権があるんですよ。愛されて、安全な環境で育つ権利があるんですよと書いています。
第2項は、児童虐待は、虐待されたときだけじゃなく、将来にわたって子どもを苦しめる重大な人権侵害です。また死亡する危険もあり、絶対にやってはいけませんと書いています。
第3項では、児童虐待を見つけたときは、子どもの安全を最優先に考えなきゃいけません、また今後どうするか考える時に、子どもにとって何が一番良いのかを考えなくちゃいけませんよ。という事を書いています。
厳しいようですが、お父さんやお母さんが「もうしないから」と言っても、また虐待が起きて子どもの命が危なくなるときなんかは、お父さんお母さんから子どもを引き離すこともありえるということですね。
第4項では、みんな、児童虐待を見逃さないようにしてください、児童虐待のないまちづくり、子どもが安全に健やかに成長できる社会をつくりましょう。ということです。



第4条は、その基本理念を実現するために、飯塚市は大きく2つの基本方針でやっていきましょう。一つは、児童虐待の予防には子育て家庭を支えることが大切ですよね。地域と行政が一緒に子育て家庭を支援していきましょうということ。もう一つは、地域と行政が一緒にとなって児童虐待を防ぐためいろんなことをやっていきましょうということを書いています。



第5条は、市のやるべきことです。
第1項では、児童虐待を受けた子どもの安全確保が最優先です。
以下、第2項以降はおおよそ、こんなぐあいです。
2 虐待を防ぐために色んな事を市民にお知らせしていきます。
3 市は、色んな方々と協力して、子どもが児童虐待から自分を守れるように、どうしたら良いかを教えたりしていきます。
4 市は、警察や関係機関と一緒に、児童虐待を防ぐための取組などを支援していきます。
5 市は、毎年、児童虐待の防止のために何をしていくのか計画立てて公表します。
6 市は、親になるための準備、児童虐待の予防及び早期発見のための方策など児童虐待を防ぐために必要な調査研究や検証をしていきます。
7 市は、今までに書いたこと以外にも児童虐待の防止等に関し、必要な施策を積極的に推進していきます。



第6条は、保護者のやるべきことです。
まず第1項で、児童虐待を決してやってはいけません。子どものしつけと称しての体罰もだめですよ〜と。
2 子どもに愛情を持って接してくださいね。また子育てに関する知識を学んでください。児童虐待が子ども成長や人格形成に重大な影響を与えることをよ〜く知ったうえで、子育てしてくださいね。
3 子育てするときに、年齢を考えて配慮してくださいね。特に乳幼児は、自分で自分を守れない弱い存在であることに配慮してくださいね。
4 子育てするとき、遠慮なく、積極的に子育て支援事業を利用してくださいね。地域社会から孤立することのないように、地域でのいろんな活動にも参加したりしてくださいね。
5 お父さんもお母さんも、一緒に子育てしてくださいね。
6 市や児童相談所が子どもの安全の確認などに来たら、協力しなきゃいけませんよ。
7 市や児童相談所、学校や病院から指導又は助言などがあったら、そうしてくださいね。



第7条は、市民(市内に通勤通学する人を含みます)のやるべきことです。
第1項では、児童虐待について理解を深めて、子どもを助けてください。市が児童虐待の防止のためにやることにも協力してくださいね。
2 児童虐待の防止等に関する活動があったら積極的に参加してください。
3 市や児童相談所が子どもの安全の確認をしてたら、協力しなきゃいけませんよ。



第8条は、関係機関等(学校や保育園や病院などです)のやるべきことです。
第1項では、児童虐待を防止するように努力しないといけませんよ。
2 市の児童虐待の防止のためにやることにも協力してくださいね。またお互いに連携して取り組んでください。
3 市や児童相談所が子どもの安全の確認をしてたら、協力しなきゃいけませんよ。
4 学校や保育園、病院など、子どもの医療、福祉又は教育に関係のある団体は、児童虐待を見つけたときなどにちゃんと対応できるように委員会をつくるとかしてくださいね。




第9条は、児童虐待の早期発見について書いています。
第1項では、みんなで児童虐待の早期発見に努めてください。
2 市長は、関係機関が児童虐待を発見対応するための指針「早期発見対応指針」をつくらなくちゃなりません。
3 関係機関は、早期発見対応指針に従って、児童虐待の発見対応に努めてください。



第10条は、人材育成について書いています。
第1項では、市は、関係機関が研修などに参加できるようにします。
2 市は、児童虐待に関する相談等に対応できるようにすると共に、学校などに専門家を派遣してアドバイスできるよう、人材を確保するとかしないとなりません。
3 市は、児童虐待の防止等に関する研修などを行って、周知啓発をしてください。



第11条は、児童虐待の通報などについて書いています。
市民も関係機関も、児童虐待を受けたと思われる子どもを発見した場合は、速やかに、市又は児童相談所に通告(知らせること)しなければなりません。



第12条は、情報の取扱について書いています。
第1項では、市は、児童相談所や警察、児童虐待の防止等のために県が指定する拠点病院(筑豊では飯塚病院が指定されています)との児童虐待に関して、きちんと情報交換をするようにしてください。
2 子どもの安全のために必要があるときは、関係機関や児童虐待の通報をしてくれた人と情報交換できますよ。だけど、通報してくれた方との情報交換するときは、くれぐれもプライバシーの保護を注意しないといけません。(あとで、プライバシーを守る義務をつけています)


以上、分かりやすく書いたつもりですが、どうでしょう。
もちろん、これらを決めるときに、色んな話をしました。その中でも特に話になった点を一つ。
というのは、第6条第1項で書いている「しつけと称して、体罰を与えてならない」というところ。
実は、ここ、結構みんなで議論したんです。議員だけでなく、病院の方、大学の先生、弁護士さん、主任児童委員や、子育てのNPOの方、保育園の方など。。。
体罰をだめって書き込むかどうか。親に子どもを叱る権利(懲戒権)があるから、子どものためを思ってお尻を叩くのは・・・とか、実際にウチでも・・・とか。でも体罰がダメな国もあるし、体罰の教育的効果がないと言う話もあるしねとか。また「しつけ」に関しても。そして条文の表現も、「しつけと称して、体罰を与えてはならない」と書いているけど、じゃあ、しつけとしての無視は?とか。

そんな議論を様々した上で、福岡市の児童相談所でこども緊急支援課長までされた方に相談しました。そして出した僕らの結論は、やっぱり体罰もダメってきちんと書こう。しつけと称しての体罰はもちろん、無視なんかもダメだけど、児童虐待やっちゃいけませんってその前に書いているから、ここは「しつけ」という言い訳や、「体罰」をだめ!ということで、このように書こうとなりました。



第2章以降は、また後日。