飯塚市議会議員「えぐち徹」のつれづれ日記

飯塚市議会議員えぐち徹の足跡です。

本会議終了、水道修正案、残念ながら否決に。

12月議会が閉会しました。

 

昨日お伝えしたように水道会計の補正予算への修正案を出しましたが、残念ながら否決に。

今日は、その修正案について、動画とその原稿からお伝えします。

まずは、動画の該当部分をどうぞ。経済建設委員会の委員長報告から始まります。

youtu.be

 

いかがでしたでしょうか。

いや、見る時間ないよ!という方のために、提案理由の原稿を書きますね。

議案第104号 令和3年度飯塚市水道事業会計補正予算(第2号)に対する修正案の提案理由を説明いたします。
修正案の2ページ (参考)令和3年度飯塚市水道事業会計補正予算(第2号)修正に関する説明書をご覧下さい。

本修正案は、令和3年度飯塚市水道事業会計補正予算(第2号)第5条にある「飯塚市水道施設運転管理及び料金収納等業務委託料に関する令和3年度から令和14年度までの限度額65億5113万8千円を限度額とする債務負担行為を削り、第6条と第7条を1条ずつ繰り上げるものです。

本来、国も地方自治体も、「単年度主義」「会計年度独立の原則」を取っていますが、その例外として債務負担行為があります。

この債務負担行為とは、一般家庭に例えると「複数年のローン」にあたります。
議会や国会で、債務負担行為を議決するということは、国や市が複数年のローンを組むことを認めるものと言い換えることができます。 

この債務負担行為、「国や市の行う複数年のローン」があくまで例外である理由の一つは、後年度、つまり先々への財政影響です。
長期間にわたり、国による債務負担を認めてしまうと、その後の財政需要等の変化に対応出来ず、財政の硬直化を招く恐れがあるとの考え方があるからだと言われています。
ローンという性格上、組めば組むほど、将来のお金の使い道が決まってしまう、すると、突然、失業した、車が故障したからと言っても、余裕がなく困ってしまう、戦前はそういったことも多かったことから、その反省を踏まえ、国は5年以内を原則としています。

また、この会計年度独立の原則について、福岡市の財政調整課長を務められ『自治体の“台所”事情 “財政が厳しい”ってどういうこと?』という本の著者である今村寛さんは、次のように述べておられます。

会計年度独立の原則は、憲法第83条から第86条に定める「財政民主主義」の思想を具現化したものだと私は捉えています。
財政民主主義とは、国家が財政活動(支出や課税)を行う際は、国民の代表で構成される国会での議決が必要であるという考え方で、これに基づいて、国及び地方自治体は単年度予算主義を採用し、年度ごとに国民、市民から徴収する税金の額とその使途を国民、市民の代表に問いかけ、賛同を得ているのです。

債務負担行為や繰越など、年度を超えて支出することをあらかじめ決定することが例外とされているのは、将来の国民、市民の持つ予算編成権に対する越権、侵害行為となるからであり、別に詳しく述べますが将来にわたって負債を負う「借金」の使途が限定的なこともこの考えに基づいているのです。

私たちには、現在の自分たちへの行政サービスのために過去の資産を食いつぶす権利も、将来の市民が収める税金を先食いする権利も、将来の市民が収める税金の使い道を決める権利もありません。

例外として、債務負担行為を行うにしても、明らかにそちらの方がメリットがあると言うものでなくてはなりませんし、私たち議会はそのメリットをしっかり説明してもらい納得した上で議決しなくてはなりません。

この財政硬直化の恐れと財政民主主義の空洞化を防ぐために、国の国庫債務負担行為は原則5年であり、国が5年を超える長期の債務負担行為を認めているケースの多くは建物を建てて運営を任せるPFIの案件、例えば山口県美祢市にあるセコムなどの企業グループが作った刑務所「美祢社会復帰促進センター」の運営と言ったものとなっています。

水道事業にあっても、全国の自治体の債務負担行為も5年以内がほとんどとなっており、委員会審議の際に、上野議員の「5年以下のところと5年を超えるところのそれぞれの自治体数は幾つと幾つですか。」という質問に対し、答弁は「5年を超えるところはもう僅かではあります。数は4とか、そこら辺の数にはなっております。」と言うものであり、全国的に見て例外であることがわかっています。

そして上野議員の「今まで5年で委託を継続されてきているのですが、困ったことが何かあったのですか。」との質問に対する答弁も「特に問題があったということではありません。」ということでした。

また、市は10年間の長期契約のメリットについて、「今回新たに追加する水道管路関連業務は、市内の地理、配管状況に精通する必要があり、特に現場での実務は多岐にわたるため、ノウハウの蓄積による経験が求められる、また5年ごとに要する初期投資費用4千万円を軽減できる」とされていますが、
鯉川議員の質問により、市職員も人事異動の中で習熟していること、更には、前回の委託業者、データベースから現在の委託業者 ケイ・イー・エス 第一環境 共同企業体に変わったときも、働いていた方々で継続して雇用を希望された方は、全員雇用されたということが確認されており、理由になりません。

また、この点は、上野議員の「習熟度が必要という話がありましたが、10年後にまた同じ業者がとるという保証はないわけなのですが、10年後はどのようにお考えですか。」との質問に対する答弁が、「できれば、次に受けられる業者さんに引き継いでやっていただければ助かります」というものであったことから、企業局の方も、会社が変わっても、継続雇用がなされることを期待していることが明白であり、理由にならないことが重ねて証明されています。

また、初期投資費用4千万円が軽減されると言いますが、全体の費用が、現在の契約が5年19億3千万円であるのに対し、10年での債務負担上限額が65億5千万円、伸び率にして3.4倍と大きく伸びており、その理由として、人件費や物価の上昇などで、委託料が増額となるという説明がありました。
しかし、3.4倍もの伸びとなった10年間の委託の設計金額は適切なのでしょうか。
10年後までを見込むとなると、会社側もなにかあったらいけないので、余裕を大目に見て見積もりするでしょう。そうなると市が委託料を払いすぎるおそれがあります。

また、前回の公募の際に飯塚市の債務負担限度額が23億円だったのに対し、取った契約は19億円、率にして81%と市と民間の算定には大きな差があります。
5年でこれだけ差があるのに10年だったらどれだけ大きくなるのでしょうか。

また、技術や制度を見ているとその移り変わり、変化は非常に早いと皆さんも感じておられることでしょう。
その中で、5年先、10年先の技術、制度について十分見通すことができるのでしょうか。
技術、制度についての見通しが難しいのであれば、適切な内容、適切な金額で委託するには、10年は長い。国や他の自治体はそう考え、5年以内の契約としているのではないでしょうか。現実に今、隣の直方市は3年で2億6千万円を限度額にプロポーザルの公募をやっています。

また、光根議員からは「水道料金の値上げの際に上下水道経営審議会から、今回の料金算定期間は令和4年度から8年度までの5年間とし、以降を経済情勢等の変化に対応できるよう、5年をめどに定期的に見直しを行うことが妥当であるという答申がありましたけれども、今後は5年ごとに見直しを行うという答弁がありました。ならば、委託も値上げ同様、経済情勢等の変化や、また制度や技術の変化に対応できるような、5年ごとの見直しを考えるべきではないかと思いますけれども、これに対して、どうお考えですか。」との質問があっており、その指摘どおりと考えます。

さらに光根議員の「この債務負担の10年の延長についても、当然、審議会で審議されるべきものと考えますけれども、この審議の結果はどのようになっていますか」との質疑に対しての答弁は、「経営審議会には、特に諮ってはおりません。」というものであり、ここでも検討不足は明らかです。

費用が軽減されるから長期間の契約を行う、費用が軽減されるから複数の業務を一本で発注する、そういったことを認めるならば、市役所の全ての仕事を同様に10年、20年に延ばし、また保守点検も全て一括発注にすればよい。しかし、それは先ほど言った財政民主主義を冒すものですし、市が市内業者を育成するために、公共工事や物品購入を分離分割発注を原則としていることと反するものです。

また、考えなくてはならないのは、この仕事を市外業者に取られていると言うことです。
この上限額65億円の委託を次に受注する会社もまず市外業者です。
現に、1回目は北海道の会社、2回目は北九州と東京の会社です。職員の多くは飯塚や周辺に住まれることでしょうが、その利益は市外に流出してしまいます。

この委託、業務を追加、追加してここまで大きくなっていますが、果たしてこれが正しい形なのでしょうか。

上野議員の指摘にあったように、新しく追加になって習熟が必要な、水道管路の維持管理については、三セクを作ることもあり得るでしょうし、地元業者でもできるのではないでしょうか。

市の仕事の発注の方針である分離分割発注を行い、料金収納とシステム構築と浄水場の運転管理を別々に出したら、市内の業者が取れる仕事になるかもしれません。

そうすると利益も市内で循環します。市内の活力になります。

そういった市内業者の育成の観点を含め、今まで述べてきた理由から、今回の10年65億円の債務負担行為は認めることはできません。
企業局には、改めて今言ったような点などを含めて再検討した上で、3月議会に5年の債務負担行為として、できれば複数の業務に分割して再提案して頂きたい、地元業者が受注できるように、次回は無理でも、5年後に向けてがんばろうと動けるような提案をして頂きたいと述べて、長くなりましたが、提案理由の説明といたします。
皆さまの賛同を頂けますよう、お願いします。

 

しっかり説明したとは思いますが、議員の多くには伝わらなかったようです。市内業者を育成するという市の方針がどこへ行ったのかと思いますが・・・
これも皆さまの選んだ市議会議員の決断です。私は納得していませんが・・・

 

参考のため、補正予算案の問題箇所、修正案を以下に記します。
【問題箇所】今回提出された水道事業会計補正予算につぎのようなものがありました。

 

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水道事業補正予算債務負担行為

これは、予算資料に次のようにあるように、浄水場の運転管理や料金収納業務などを10年間にわたって委託することができるようにするもの。限度額は65億円です。

 

予算資料

【修正案】
昨日書いたように疑問が残りっぱなしだったので、ココを削除する修正案を出しています。
修正案は次の通りです。

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以上です。最後までお読み頂きありがとうございました♪