10月21・22日と、議員になって以来、ほぼ毎年参加している清渓セミナーという超党派の地方議員の勉強会に参加してきました。
参加と言っても、実行委員会にどっぷりつかっているので、運営側なんですが・・・
運営側が言うのも何ですが、今年のセミナーは輪を掛けて良かった!
たっぷりの刺激と知識を頂き、帰ってきました。
その中でも出色だったのは「少子化対策~自治体からの検証・提言」というコマ。
コロナが始まる前に行った実行委員会で少子化をテーマにしようと言うことを決め、だったら明石市長を呼びたい!と提案し、以前から清渓セミナーで講演して頂いたこともある気鋭のジャーナリスト小林美希さんとの二人の講師という贅沢なこの講座。
やっぱり大当たりでした!
まず明石市とはというところから説明しましょう。
神戸市の西に位置する明石市は、面積50平方キロと合併前の飯塚市より一回り小さなエリアに30万が住むまち、古くからの漁港もあれば川崎重工などの工場もありますが、が神戸や大阪に通勤する方々の住むベッドタウンでもあります。
明石海峡大橋や東経135度の子午線があること、また明石の鯛やタコ、さらには明石焼きでも有名なまちですね。
そんな明石市も、少子高齢化の波により近年は人口減少傾向にありましたが、泉市長就任の平成23年から2年後の平成25年以降は、人口増が続いています。
その明石の市長と言ってもピンと来ない方も多いかとお思いますが、実は別なことでも有名になったことがあります。
それは、昨年1月に市職員に対する「火をつけて捕まってこい!」とパワハラともとれる暴言が報道され、一度辞職されているのです。
ウィキペディアには次のようにあります。
2017年6月14日、明石駅付近の国道2号の拡幅工事に必要な立ち退きに関し、土地買収交渉における進捗の停滞に業を煮やしたあまり、担当職員に対して「火付けて捕まってこいおまえ。燃やしてまえ。損害賠償を個人で負え」、「おまえら1人ずつ1千万円出せ。自分の家売れ。その金で払うたれ」などと暴言を吐いていた。
https://ja.wikipedia.org/wiki/泉房穂
ただ、この発言の後には、次のような発言があったと神戸新聞は書いています。
市長「ずっと座り込んで頭下げて1週間以内に取ってこい。おまえら全員で通って取ってこい、判子。おまえら自腹切って判子押してもらえ。とにかく判子ついてもらってこい。とにかく今月中に頭下げて説得して判付いてもうてください。
あと1軒だけです。ここは人が死にました。角で女性が死んで、それがきっかけでこの事業は進んでいます。そんな中でぜひご協力いただきたい、と。ほんまに何のためにやっとる工事や、安全対策でしょ。あっこの角で人が巻き込まれて死んだわけでしょ。だから拡幅するんでしょ。
(担当者)2人が行って難しければ、私が行きますけど。私が行って土下座でもしますわ。
市民の安全のためやろ、腹立ってんのわ。何を仕事してんねん。しんどい仕事やから尊い、相手がややこしいから美しいんですよ。後回しにしてどないすんねん、一番しんどい仕事からせえよ。市民の安全のためやないか。言いたいのはそれや。そのためにしんどい仕事するんや、役所は」
この暴言の責任を取って辞職された泉さんですが、子育て中の方々を中心に泉さんに市長として再度頑張って欲しいと5千人もの署名が集まり、出直し市長選に再出馬され当選、改めて市長の重責を担われています。
講座は、まずはそんな泉市長による「こどものまちのつくり方」と題しての1時間の講演、そして「少子化と保育」と題して小林さんが20分の講演、その後、2人の意見交換、参加者との意見交換と進みました。
泉市長の講演のほんの一部を紹介しましょう。
「子育て支援を進めた結果、8年連続で人口が増え、まちが賑わい、税収が増え、更なる施策の充実ができるという好循環ができている。」
まちをつくるのは”ひと”
これからの明石のまちをつくるのは今の明石のこどもたち
こどもたちに借金を残すような税金の無駄遣いをやめ
頑張るこどもたちをまち全体で応援する
そんな明石をつくっていきたい
それが明石の未来につながる
泉市長は、市長選に挑戦するにあたって、このように述べられています。
そして、この明確なビジョンの元、政策を推し進めます。
「こどもを核としたまちづくり」は、
すべてのこどもたちを=
支援の対象を貧困家庭に限定することなく誰1人として見捨てない
まちのみんなで=
親だけに責任を押しつけるのではなく、行政や地域や市民みんなの責任で
一人ひとりに寄り添って=
行政目線や親目線でなく、こども目線で
本気で応援する=
予算の範囲内にこだわらず、必要なことはあれもこれも全部!
こととし、
子育て家庭の経済的な負担を大幅に軽減するため、市独自の5つの無料化として
1.給食費 中学生完全無料
2.保育料 第2子以降完全無料
3.医療費 中学生まで完全無料
4.遊び場 親子とも利用料無料
5.おむつ 満1歳まで無料
としています。
5番目のおむつについては、この10月からスタートした新規事業!
これは、0歳児の見守り訪問の一部として実施されており、
妊娠期には 母子手帳交付時に全ての妊婦と面談され
誕生から2ヶ月までには 保健師などが全ての家庭を訪問し
4ヶ月には 4ヶ月健診だけでなく、未受診者家庭の訪問も行い、
3ヶ月から満一歳までは 毎月見守り支援員がおむつ等の赤ちゃん用品3000円分を配達しながら
子育て情報の提供や子育ての悩みや困りごとに相談にのる仕組みだそうです。
子育て環境の整備充実としては、
保育所整備 増え続ける保育需要に応えるために5年間で5700人の受入増(2016~2020年)
少人数学級 30人学級の段階的実施
学童保育 指導員の半数以上が教員免許あり
といったことをしてこられ、来年4月には理数教育の充実・教科担任制といった特徴を持つ
小中一貫教育校を開設されるそうです。
また寄り添う支援としては、
1.児童相談所の新設
2.こども食堂を全小学校で開設
3.里親100%プロジェクト
4.離婚後のこども養育支援
5.児童扶養手当の毎月支給
6.無戸籍者支援
などをやっておられます。
このような実践を重ねてきた結果、人口は平成25年から増え続け、9千人増となっています。そして、その多くが25歳から39歳の子育て層、よそから引っ越してこられただけでなく、出生率もアップしており、全国平均1.36、兵庫県 1.41に対し、明石市は1.70と格段の差がついています。
この波及効果は大きく、住宅着工件数も大きく伸びたり(2012年1889戸→2016年2674戸)、商店街にも店が増えたり、売上が増え、まちが賑わってきています。
その結果、税収が伸び(主要税収が6年で25億円増)、更に子育て支援に力を入れることができているだけでなく、借金が減り、貯金が増えています。(40億円増)
また、明石では、子育て支援の多くは所得制限をつけていません。その結果、「中間層」と言われる方々、二人目三人目を産みたいという方々を取り込むことに成功しているそうです。とかく財源の面から所得制限を付けがちですが、そのことの功罪を改めて考えなくてはなりません。
更には、「子どもの貧困は政治の貧困」、「ネグレクトは家庭だけでない。行政もネグレクトしていないか。」と言われ、「目の前でおぼれている市民を助けるのに国に許可を求めるか?まず助けるのが自治体の仕事!」と市民目線での行政の大切さを説かれました。
ホントに熱気のこもった講座でした!
以下は、20分弱のネットニュースですが、明石の取り組みと泉市長の熱い思いが伝わってくることと思います!ぜひ、ご覧下さい!
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