飯塚市議会議員「えぐち徹」のつれづれ日記

飯塚市議会議員えぐち徹の足跡です。

待機児童、どうカウントしてる?

昨年11月末のえぐマガでは「飯塚市の待機児童、とうとう120名になってしまいました。内訳を見ると、0歳児が51人、1歳児が43人、2歳児が13人、3歳児が8人、4歳児が4人、5歳児が1人となっており、0歳、1歳に集中していることが分かります。」とお伝えしていました。

で、その際に、「船橋市・町田市・横浜市に保育に関して行政視察に伺いました。その時に見えてきたのは、待機の考え方の違い。」とあわせて書いていました。



今日は、その待機児童の考え方の違いについて、ご紹介します。
実は、この待機児童の数え方、各自治体で結構違うんです。

普通、待機児童と言ったら、どう思われますか?
保育所などに入所希望してる子どものうち、入れていない子どもの数じゃないの?
っていうのが、普通の感覚だと思います。

私も、その数を待機児童として使っています。

ただ、行政の仕事の上での「待機児童」の数は、その数とは違うんです。
というのも、厚生労働省の待機児童の定義があるから。

厚労省は毎年4月と10月に各市町村に待機児童数などの報告をさせています。
その際に使う「保育所入所待機児童の定義」とは次のようなものです。



〜〜〜 ココチョット難しいので飛ばしてもOKです♪ 〜〜〜

(定義)保育所入所待機児童とは

調査日時点において、入所申込が提出されており、入所要件に該当しているが、入所していないものを把握すること。

(注1) 保護者が求職中の場合については、一般に、児童福祉法施行令(昭和23 年政令第74号)第27条に該当するものと考えられるところであるが、求職活動も様々な形態が考えられるので、求職活動の状況把握に努め適切に対応すること。

(注2) 広域入所の希望があるが、入所できない場合には、入所申込者が居住する市町村の方で待機児童としてカウントすること。

(注3) 付近に保育所がない等やむを得ない事由により、保育所以外の場で適切な保育を行うために実施している、
1 国庫補助事業による家庭的保育事業、特定保育で保育されている児童
2 地方公共団体における単独保育施策(いわゆる保育室・家庭的保育事業に類するもの)において保育されている児童
3 国又は地方公共団体よりその運営に要する費用について補助を受けている認定こども園のうち、幼稚園型又は地方裁量型の保育所機能部分で保育されている児童(2の地方公共団体における単独保育施策分を除 く。)
については、本調査の待機児童数には含めないこと。

(注4) いわゆる”入所保留”(一定期間入所待機のままの状態であるもの)の場合については、保護者の保育所への入所希望を確認した上で希望がない場合には、除外することができること。

(注5) 保育所に現在入所しているが、第1希望の保育所でない等により転園希望が出ている場合には、本調査の待機児童数には含めないこと。

(注6) 産休・育休明けの入所希望として事前に入所申込が出ているような、入所予約(入所希望日が調査日よりも後のもの)の場合には、調査日時点においては、待機児童数には含めないこと。

(注7) 他に入所可能な保育所がある(保育所における特定保育事業含む)にも関わらず、特定の保育所を希望し、保護者の私的な理由により待機している場合には待機児童数には含めないこと。
※ 他に入所可能な保育所とは、
(1) 開所時間が保護者の需要に応えている。(例えば、希望の保育所と開所時間に差異がないなど)
(2) 立地条件が登園するのに無理がない。(例えば、通常の交通手段により、自宅から20~30分未満で登園が可能など)

〜〜〜 難しいとこは以上です♪ 〜〜〜



で、この厚生労働省が使っている待機児童の定義が問題なんです。

厚生労働省が使っている待機児童の定義では、特定の保育所を希望している場合には「待機児童に含めない」とされています。
その「特定の保育所を希望している場合」ってのをどう判断するかも自治体間で判断にばらつきがあるんです。これが大きな問題。

飯塚市は、この保育所については、市内全域を提供区域としており、例えば、頴田の方が頴田の保育所や庄内、鯰田の保育所に希望したけど入れなかったと言う場合でも、筑穂の保育所に空きがあったら「特定の保育所を希望している」ということで、「待機児童に含めない」こととしています。

あれっ? じゃあ、飯塚市の待機児童って???と思われた方、正解です。
飯塚市の行政上での待機児童、つまり厚生労働省に報告している数字では、待機児童はゼロなんです(汗)
私が時々書いている待機児童は、皆さんの感覚と同じ「保育所などに入所希望してる子どものうち、入れていない子どもの数」で、今、飯塚市では、「私的理由による未利用者」という区分になっています。
ただ、「実質的待機児童」であるとは、市も認めており、私はこちらの数字を「待機児童」として、メルマガ等では紹介しています。



で、この自治体の判断の差が大きな問題。
昨年10月末に視察に行った船橋市や町田市では、この「特定の保育所を希望している場合」に関して、全市をエリアとして考えるのではなく、「特定の1つの保育所だけを希望している場合」には、「待機児童に含めない」こととしていますが、住んでいるところから現実的に通園できる範囲の複数の保育所を希望しているけど入れなかった場合には、「待機児童に含める」こととしているそうです。

そりゃ、そうですよね。
この部分、ホントに考え方を変えなくちゃいつまで経っても飯塚市の待機児童問題は解決しません。
で、この表向きの待機児童がいないとどうなるのでしょう。

当然、「待機児童がいないんだから、新しい保育園はイラナイよね。」ということになり、新しく保育園をつくりたい!と言う方がおられても、「ダメ!」となってしまいます。



そのことを表すように、新規の認可保育園はかなり前から飯塚市ではできていません。
増えているのは、幼稚園が認定こども園となったり、昔からある保育園が建替の際に定員を増やしたり、公立だった保育所を民営化したところばかりです。

国の政策として、待機児童の受け皿をどんどん増やします!というのは、飯塚市では無縁でした。

だけど、仕事の仕方が変わって、共働きが当たり前の時代になった今、保育園が足りないのは、飯塚市でも現実。

ここの考え方はしっかり変えなくてはなりません。



また、厚労省の定義では、保護者が育休中の場合は「待機児童に含めないことができる」とされています。
「まあ、保護者が育休中だから家にいるので、待機児童じゃなくて良いでしょ」と考えがちですが、そんなケースだけじゃないんです。
「育休を終えて、仕事に復帰したいのに保育園には入れない!」ってことで会社に無理を言って育休を延長してるケースも含まれてしまうんです。

このような育休中のケースをどう取扱うかは、自治体の判断に任されています。

自治体がどう判断するか。このさじ加減ひとつで、待機児童が解決に向かうか、それともだらだらと続くのかが、変わります。


飯塚市もそろそろ変わらんとデスネ。