飯塚市議会議員「えぐち徹」のつれづれ日記

飯塚市議会議員えぐち徹の足跡です。

市場そのものが負の遺産になる? 弊社として移転市場への入場が困難に?

今日の総務委員会では、卸売市場の工事契約議案も審議に。
この審議の中で、6月議会の中で早期に議会に示すと答弁していた事業計画が未だにできていないこと、使用料の合意もなされていないことが分かりました。
さらに、青果の卸売会社側から市長へあてた要請書が出されていたことが分かりました。

 

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その中には、「今の市場機能の延長線上だけで想定してきた現行の基本設計では、確実に淘汰され、多額の市税を投入した市場設備そのものが、負の遺産になることは容易に想像いただけるものと思います。」、「係る状況の下、現計画案で実施設計が進み、結果として今後の市場運営ができないと判断した暁には、弊社と致しましては移転市場への入場が困難となります。」との文言も。

この要請書は、極めて重要な文書です。
卸売会社として、「現在の設計ではダメだ。負の遺産になる」「このままで進むなら市場の建物ができても、私たちはその市場に入らない」ということ。

私や福永議員の懸念が、まさに現実のものになる恐れがあることが分かりました。
約35億円使って市場を造ったは良いけど、ムダなモノになりかねないのです。

こんな要請書を出されているのに、市側は、工事契約議案を提出し、今日の総務委員会では全会一致で可決。

私は隣で開催されていた協働環境委員会に出席していたので、今、YouTubeで確認したばかり。

これが、明後日の本会議でも可決となると、現在、仮契約となっている31億円の工事契約が有効なものとなり、市は、工事を請け負う会社に、工事を発注する義務・代金を支払う義務が発生してしまいます。
途中で、や〜めたなんてしたら、当然ながら違約金が発生するでしょう。

そんなおそれがあるのに・・・

あ〜あ、なんなんだろ。力が抜けてしまいます。

市場の移転が不要とは思っていません。
35億近く使う大型事業だからこそ、なおさらのこと、きちんと関係者と使用料を含めた全ての費用について、さらにどんな建物になるのか、どんな使い方ができるのかなど全てのことを関係者ときちんと合意して、それを文書にする。その作業が終わっていない中での工事へのゴーサインは出せません。
また、それらや市としての資金計画などを含む事業計画が出され、それが妥当なモノかどうか、しっかり確認できてからでないと、工事へのゴーサインは出せないと思っています。

あなたが家を買うときのことを考えて見て下さい。
どんなおおよその図面しかなく、自分がどれだけ払うことになるか分からない中で建築会社と契約しますか?

あなたが、ビルのオーナーとして、そのビルが老朽化したとしましょう。建て替えようかなと思っても、ビルを借りているお客様が、建て替えた後のビルに入るかどうか分からない中で、建替の工事を始めますか?

それも、特殊なビルで、今入っているお客様が建替後に入らなかったら誰が借りてくれるか非常に不安だったらどうします?

私は心配のしすぎなんでしょうか。

以下にその要請書写真と文面を紹介します。

飯塚市地方卸売市場移転における要請書

拝啓時下ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。
 標記の件、2019年11月6日に飯塚市都市施設整備推進室(以下都市施設整備推進室)から、新市場移転後の施設使用料についてたたき台となる金額を提示いただきました。
実施設計・施工業者の決定においてプロポーサルの手法を採用したことで金額が低減できたとも伺っており、弊社の負担能力に応じた使用料を継続協議していくことになりました。

 一方で、プロポーサルの根幹となっている基本設計に至った経緯を振り返りますと、2017年末に移転計画が始まって後、弊社を含む市場関係者(ファーマインド新筑豊青果株式会社、新筑豊青果商業協同組合、関連店舗組合、株式会社飯塚花市場、飯塚花商組合、飯塚花き園芸組合。以下市場関係者)と都市施設整備推進室との間で、要望についての協議を重ねてまいりました。また、2018年秋口からは、設計事業者である東畑設計事務所も交えての協議となりました。そして、2019年5月14日に市場関係者に対して基本設計図面のお披露目があり、続いて2019年6月21日には、当初の建設予算が約41億円程度まで膨らんだ旨の報告があり、2019年7月2日の市議会総務委員会に「議案97号令和元年度飯塚市地方卸売市場事業特別会計補正予算」が上程され、承認可決となりました。
 しかしながら、卸売市場を取り巻く事業環境は、移転計画が始まった2017年当時の予測を遥かに超え、急速に厳しさを増す事態となっております。
 2017年は秋口から始まったレタス・キャベツ等の野菜高騰の効果もあり、非常に好調な業績で着地することができましたが、2018年はその反動と思われる急激な取扱数量の落ち込み、また2019年になると数量と単価が両方とも前期割れするなど、従来にはありえなかった現象が発生するようになっています。これは弊社のみならず、全国の公設市場全てで起きている事実です。

 この背景には、少子高齢化の進行、農業者人口の減少などの従来から続く社会的動態変化の他、情報・物流双方での技術革新(ICT、コールドチェーンなど)の成熟が進み、市場経由外で消費者に届く手段が増えたこと、すなわち流通構造そのものの変化が着実に進行しており、それが2017年の野菜高騰のあおりを受けて、業務需要を中心に2018年、一気にブレイクスルーしたものと考えております。
また、検討すべき環境要因も2017年以降で急増しております。事例をあげますと、農協改革、卸売市場法改正、ドライバー不足(物流コスト高騰)、働き方改革、TPP、日米貿易協定、消費税増税、HACCP(の考え方を取り入れた衛生管理)義務化、等々はここ直近で起きた動きです。

 このような急激な環境変化に直面する中で、今の市場機能の延長線上だけで想定してきた現行の基本設計では、確実に淘汰され、多額の市税を投入した市場設備そのものが、負の遺産になることは容易に想像いただけるものと思います。ただし、飯塚市民の皆様への食糧供給基地として、筑豊地域唯一の卸売市場たる弊社の必要性は我々も十分理解しており、親会社たる株式会社ファーマインドとも様々な可能性を検討した結果、以下の方策を検討しております。
①従来の市場機能(セリ場)とともに、大手量販店の物流センターに伍する機能、例えばドッグシェルターを複数完備した完全コールドチェーン対応の密閉型構造を別棟として併設する。
②環境変化により、青果市場に求められる役割が原体販売に留まらなくなっており、一次加工やリパック等々の要望に応じることで、付加価値も提供できる機能を具備する。
③取扱数量の減少により従来の市場機能は将来的に赤字が見込まれるが、鮮度の高い青果を大消費地に大量輸送するなど、高機能化した施設を活用した方策で利益率向上を図り、その利益で将来的に補填する。
④大消費地への販促や大量輸送については、株式会社ファーマインドグループとの協力やネットワークを活用する。
以上が、生き残りを掛けて様々な可能性を検証した、我々の現状の見解でございます。

 係る状況の下、現計画案で実施設計が進み、結果として今後の市場運営ができないと判断した暁には、弊社と致しましては移転市場への入場が困難となります。従いまして以下の機会をいただきたくお願い致します。

1.上記の方策の実現に向けて、株式会社ファーマインドグループの担当者および設計専門家と実施設計・施行業者との間で、折り合える点を協議する機会
2.担当者間で解決が難しい局面においては、どのような方法があるかも含め、飯塚市長と株式会社ファーマインドの代表者との間で解決策を協議する機会.飯塚市長におかれましては上記背景をご賢察の上、上記の機会を要請致します。