飯塚市議会議員「えぐち徹」のつれづれ日記

飯塚市議会議員えぐち徹の足跡です。

大きく変わった奨学金条例、もうちょっと詳しく。


9月議会で「議案57号 飯塚市奨学資金貸付基金条例の一部を改正する条例」が可決となり、奨学資金貸付基金条例が大きく変わりました。今回の改正は、今まで貸与型だった奨学金を変更し、卒業後市内に一定期間定住すると返還不要となる制度とするため。


全国的に奨学金の返済に困る方が増えてきており、貸す奨学金から返さなくて良い奨学金へ変えようという動きが生まれています。その奨学金に困る方の様子を描いたNHKクローズアップ現代「“奨学金破産”の衝撃 若者が… 家族が…」はコチラ → http://www.nhk.or.jp/gendai/articles/3815/1.html


飯塚は、返さなくて良いよとまでは言えないけどとして、「奨学資金の貸し付けを受ける者に対し、卒業後に市内に居住することで、その返還額を一定額免除することで返還時の経済的負担を軽減することで、これまでよりも利用しやすい奨学金制度にし、教育機会の均等に寄与するための関係規定を整備するため」今回の条例改正を提案したと市は説明しています。


たぶん、借りる人にとっては、嬉しい改正でしょう。
今までの飯塚市奨学金は、全て返すタイプ。借りたら返さなきゃいけませんでした。
それが、大学や高校を卒業して飯塚で頑張ってたら、返さなくて良いよとなったんだから。


高校だと月1万5千円だから1年で18万、3年で54万円が返さなくて良くなります。
また、私立大学だと月4万5千円だから1年で54万円、4年で216万円、医学部や薬学部などだったら6年なので324万円が返さなくて良くなります。


いや〜、嬉しい!
宝くじでも最高1万円しか当たったことのない私だったら嬉しくてたまりません。
あなただったらどうですか?


もちろん、議会での審議に際しては、私も賛成しました。
今までの制度では、借りる人もほんの少数。先の委員会での質疑では、高校生及び高専生への貸与は、平成26年度及び平成27年は0名、平成28・29年度が2名とのことでした。無利子ではあるものの、同様に無利子の案件は日本学生支援機構http://www.jasso.go.jp )にもありましたので、けっこう使えない制度でした。
これが、より現在の学生にとって有利な制度になることは、歓迎すべき事と判断し賛成しました。


でもね〜、と思う私もいるんです。


というのは、もうちょっと変えるともっとよくなるかなとの思いがあるから。


今回の制度変更で、1年間で最大4428万円が必要となるのは、前回も伝えたところですが、反対にこの制度で救われる学生はというと、私立高等学校・高専が1学年に10人以内、専修学校・短期大学・大学が同じく1学年で18人以内なんです。


対象となる学生は何人くらいなんでしょう。統計いいづか28年版をみると、出生数は平成25年1143人、平成26年1179人、平成27年1132人となっています。また、高校生や大学生に相当する人数で言えば、15〜19歳が6361人(H27国勢調査)、20〜24歳が6893人ですので、双方を足して10で割ると1325.4人となります。


つまり、1300人いる同じ年の学生の中で、この奨学金を利用できるのはわずか18人しかいない。まさに狭き門なんです。


また、奨学金で学生生活を送った後で飯塚へ帰ってくれば返済しなくて良い制度なのですが、その条件も、もうちょっと考えないとと思う点があります。というのは、今回の制度は、飯塚にいれば良い制度であり、働いているかどうかは問わない制度となっているんです。


ここはどうでしょう。。。大きな税金を使ってまで、学生を支える。その心意気は良しとしますが、大盤振る舞いになってはいけません。せめて、飯塚へ帰って来て、どんな形にしろ働いて頂く。それって必要じゃないですかね。


また、制度の作り方も、同じ学生を支援する中でも工夫できたのではないかと思っています。



そんなことを考えている私がこんなの良いよねと思っている一つは、北九州市が行っている奨学金返還支援事業(北九州市未来人材支援事業)。これは、日本学生支援機構奨学金など貸与型奨学金を利用した方が、市が認定する企業等へ就職し、市内に居住した場合、就職後2年目〜4年目に、年間最大18万円を3年間(最大54万円)補助する事業。
 奨学金返還支援事業(北九州市未来人材支援事業)→ http://www.city.kitakyushu.lg.jp/kikaku/20301111.html

現在の貸与型奨学金で貸す方が困っているのが、貸し倒れ。借りた方が返せずに焦げ付いてしまうことです。
これは、一部返済免除型となった飯塚市の新しい制度でも、就職等の理由で市外へ住居を移した場合には発生します。
対して、このように貸与型奨学金の返済を支援する仕組みだったら、貸し倒れのリスクは回避できます。


そして、確実に飯塚に住んで飯塚の企業で働く方を支援できます。
また、上限を54万円にしている北九州市のように、金額の設定によっては、支援できる人数も増やせます。
例えば? 1/3の支援とすると、学年で18人ではなく54人の方に支援できます。
そして、対象となる企業等の選定によって、そこの業界の支援も出来ます。


私だったら・・・そうですね。返す金額の1/3〜1/2を最長5年間支援するところから検討を始め、財政と受けたい方々のバランスを見て決定するかな。おまけに、市内で保育士になるなら支援金額を増やすのもやりますね。


実は、このような返済支援型の制度を創る自治体は北九州以外にもあるんです。
興味を持たれた方、こちらをどうぞ♪
日本学生支援機構 地方公共団体の返還支援制度
 → http://www.jasso.go.jp/shogakukin/chihoshien/sosei/seido/index.html
政治山 U・Iターン就職で最大250万円の奨学金返還補助 岩手県の「いわて産業人材奨学金返還支援制度」とは
 → https://seijiyama.jp/article/news/omn20170922-3.html


せっかくの学生への支援、もうちょっと工夫できないか、思考を深めたいと思います。
こうしたらなどのアイディアがありましたら、ぜひ教えてください!

9月議会での審議の際の委員会記録できました!
→ https://www.city.iizuka.lg.jp/giji/shise/gikai/kaigiroku/h29nendo/h2906fukusibunnkyou.html
 こちらから、平成29年9月20日の福祉文教委員会をクリックください。
 資料もコチラからダウンロードできますよ。