またまた出てきたこの写真、そう西日本新聞、朝日新聞で大きく取り上げられ日本中にその様子が知られることとなった白旗山のメガソーラーです。
このような事例のある飯塚市ですが、この12月議会でも、私どもが提案しているメガソーラー規制条例は可決成立とはなりませんでした。
正直、力の抜ける思いです。
今日は、そのメガソーラー規制条例について12月議会ではどのように議論されたのかを紹介したいと思います。
このメガソーラー規制条例が審議されているのは協働環境委員会。
委員長は公明党の奥山議員、副委員長は金子議員、そして委員には、坂平議員、佐藤議員、吉田議員、城丸議員、永末議員の7名で協働環境委員会は構成されています。
14日に開かれた協働環境委員会では、
メガソーラー規制条例は、他の議案を済ませた後、11時09分あたりから審議が開始されました。
その質疑は以下の通りです。長文ですがお許しを頂き、ぜひお読み頂ければと思います。
【委員長】
これより議員提出議案第2号 飯塚市太陽光発電事業と地域との共生に関する条例を議題とする。質疑はないか。
【吉田】
前回提出の資料について聞きたい。条例制定自治体の内、禁止区域に関して設定している自治体数は?
【環境整備課長】
208自治体のうち34自治体、16.3%が設定している。
【吉田委員】
34自治体以外が禁止区域を設定していない理由は?
【環境整備課長】
神戸市またやその他の禁止区域の設定がある自治体の条例を見ると、当該区域として地すべり防止区域急傾斜急傾斜地崩壊危険区域があるが、但し書きとして法律にもとづいて特定施設の設置が許されている場合は、この限りではないと規定がある。
逆に、禁止区域を設定しない自治体については、このような区域で開発を行う場合は都道府県知事の許可が必要であると上位法で形成されていることから禁止区域を設定していない自体が多いのではないかと考えている。
【吉田委員】
禁止区域を設定している34自治体の中で許可制を取っている自治体数は?
【環境整備課長】
17自治体。
【吉田委員】
17自治体のうち、条例により太陽光事業がストップした事例があるのかどうかわかれば。
【環境整備課長】
確認できていない。
【吉田委員】
条例案24条に報告徴収及び立入調査などの規定があるがFIT認定では?
【環境整備課長】
認定事業者に対し、報告徴収立入調査させることができる。また推進機関についても同様。電気事業法においても報告立入検査に関する規定あり。
【吉田委員】
その結果、なんらかの問題があればどうなる?
【環境整備課長】
再エネ特措法については、指導及び助言、命令ができる。電気事業法では技術基準に適合してない場合は命令や制限が可能。
【吉田委員】
事業者がその命令に違反したら?
【環境整備課長】
再エネ特措法で認定取消が可能。
【吉田委員】
国の法の整備状況は?
【環境整備課長】
新たな動きとして10月7日に4省庁の検討会の提言が公表された。林地開発の対象の許可基準の引き下げ、一定規模の発電事業に係る住民説明会の義務化、非FIT案件に関する検討など。盛り土規制法については、第4回のWGが開催されるなど法整備の準備が進んでいる。また来年度に施行されることとなっている。
【吉田委員】
太陽光発電事業は震災以降スタートした。国の法整備状況は、どう変わってきたのか?
【環境整備課長】
まず経産省関連では、2012年FIT法、2017年改正FIT法成立と事業計画ガイドラインが策定、今年4月にFIT法の一部改正、主な内容はFIP制度創設や廃棄費用の積み立て制度導入。環境省関連では、2016年太陽光発電設備のリサイクルに関するガイドラインが出され2018年には第2版がだされた。国土交通省と農水省の共菅として盛り土規制法。
【吉田委員】
今の経過を聞く限り、FIT制度スタート以降、様々な法整備が進められている。事業者に対して執行部はどう考えているのか。
【環境整備課長】
どの自治体も様々な課題を抱えており、開発行為に苦慮している。熱海市の事故を踏まえ、盛り土規制法についてはかなり踏み込んだ改正がなされた。10年前と比べると規制強化された。
【佐藤委員】
熊本県南関町が規制条例を作ったと言うが知っているか。
【環境整備課長】
新聞報道で知っている。
【佐藤委員】
内容は知っているか?
【環境整備課長】
以前、大雨が降った際に発電設備の開発途中で被害が受けたことにより法整備されたと把握している。説明会等の条例がなかったことから制定の要因になったのではないか。
【佐藤委員】
できれば、条例を取り寄せて研究する必要があると思う。条例案の10条に周辺住民への説明がある。説明不足が大きなトラブルの要因。飯塚市では自然環境保全条例では住民説明会が遵守義務としているが、罰則は?
【環境整備課長】
指導および勧告、応じない場合は公表ができる。
【佐藤委員】
神戸市でも住民の反発があると聞く。飯塚では自然環境保全条例で既に住民説明会の義務づけがなされているが他の自治体ではどうなっているか。
【環境整備課長】
1自治体が飯塚同様の条例を制定している。
【佐藤委員】
それはどのような条例だったか?
【環境整備課長】
飯塚市とほぼ同様な条例。説明会の義務づけ、協定の締結、指導勧告命令など。
【佐藤委員】
208自治体の内1自治体だけだった。他の自治体では説明会の義務づけされた条例がなかったので、条例制定になったのではと考える。許可制は全自治体の中でどの程度?
【環境整備課長】
208自治体の内、40自治体が許可制、159が届出制、9がその他認定など。
【佐藤委員】
大きく分かれているが、執行部の見解は?
【環境整備課長】
説明会の開催などを義務づけた条例により地域住民とのコミュニケーションを図ることを前提に制定を考えたのではないか。また国の状況を鑑み、許可制ではなく届け出制を取ったのではないか。
【佐藤委員】
市が市民と同じ立場に建つべき。市が許可を出すと市が国県に対し、市民の意見を申し入れたりできなくなる。次に12条に許可の基準等がある。それに違反した場合のペナルティはあるのか?
【環境整備課長】
前回資料の11ページの吹き出し部分になる。第5条第2項の網掛けについて説明。再エネ特措法施行規則に規定があるが最終的に認定取消となるので、上位法により包含されている。
【佐藤委員】
廃棄等費用について。国において改正FIT法で積立制度の創設があった。その対象者は?
【環境整備課長】
10kw以上全ての認定事業者が対象。
【佐藤委員】
積立期間は?
【環境整備課長】
10年間だが、調達期間が終了する日から起算して10年前から。
【佐藤委員】
208もの自治体が条例制定しているというがその背景をどう認識しているか?
【環境整備課長】
2012年7月の再エネ固定価格買取制度成立以来、地域住民との軋轢があった。市では従前から千平米以上の事例に対して自然環境保全条例で対応してきたが、同様の条例をもっていない自治体では、このような事態が顕著に発生したことから条例制定が進んだのではないか。また法制度に違反した場合は認定取消ができることとなったことが大きな要因になったのではないか。
【佐藤委員】
国の法制度がもの凄いスピードが進んできた。禁止区域と許可制度が条例の大きな点だが、国県が許可を出して市が許可を出さないことが可能なのか?
【市民環境部長】
率直に申し上げて、かなり厳しい状況だろうと思う。憲法があって、その下に法律があって、その下に政令省令がある。その下に県条例、そして市町村の条例となる。その辺を踏まえて申し上げると非常に厳しいと考える。
【佐藤委員】
そうなんですね。国県の法を守って事業認可を出す。それなのに市が許可を出さない。そうなると業者は損害賠償の訴訟提起となるだろう。そのような事例を知っているか?
【環境整備課長】
ある自治体がある事業者から訴訟を起こされた事例を把握している。内容的には、県知事に森林法の申請をしている段階で、市にも申請をしている段階。その途中で市が許可を出さなかった。それに対して事業者が市に対しなぜ許可を出さないんだという訴訟を起こしている。訴訟の結果的には却下。その理由は、まだ森林法の開発行為の申請が審議中であることと、法で審議中なので結論は早いのではないかと言う事。
【佐藤委員】
やはり法が優先すると私も考える。先ほども国が法整備を進めてきたといわれた。もっと先まで法整備されるのか?
【環境整備課長】
国の法制度はこれからも厳格化適正化がなされると思う。
【佐藤委員】
執行部からの発言があったように国の法整備は進められており、特に盛り土規制法についてはスピード感を持って進められている。その状況を注視すべきである。また、他市の条例、特に許可制にしているところでは、法制度も進み、苦慮しているところもあるんではないか。委員会としてその生の声を聞くべきだし、聞かずに採決に臨むべきではない。委員会として、無理なら私個人としても自費でそういう声を聞いていきたい。委員長の置いて取り計らいをお願いする。
【城丸委員】
盛り土規制法について、内容はほぼほぼ具現化されたというが、わかる範囲で説明を。
【環境整備課長】
規制区域として新たに人家等に被害を及ぼしうるエリアを広く規制する、土捨て行為や一時的な退席行為も対象。太陽光や風力を目的とした盛り土についても対象に。太陽光発電に対する対応として一定規模以上の盛り土は許可の対象となる。また罰則の強化も。
【城丸委員】
かなり厳しくなると期待している。これが施行されていたら市のメガソーラーも違ったのでは。10月7日の4省庁の提言の中で住民説明会の義務づけとあったが、これは国が義務化するのか。
【環境整備課長】
その通り。
〜休憩〜 11:48〜12:00前後
【委員長】
他に質疑は?(発言する者なし)継続審査としたい。賛成の議員は挙手を。
賛成4vs反対2
【委員長】
賛成多数、継続審査とする。
委員会に、私は傍聴席で出席、提案者に対する質疑があれば、すぐに対応する準備をしていましたが、上のように質問は全て執行部に対するものだけで、発言の機会はありませんでした。
「執行部の答弁でこれはおかしいと考えるものもあり、発言したい」と思っても、「提案者が執行部の見解や資料に対する発言は許されない」というのが今の委員長の采配です。
また、私と同じように提案者である金子議員と永末議員も「提案者であるので質疑できない」として、質疑は許されない取り扱いです。
これでは、条例案に対する審査は深まりません。
この点について、議会運営に関する本や会議規則によると、ちょっと違います。
私のように、委員会のメンバーでないものが、提案者として出席した場合、それは「委員外委員」として取り扱われますが、会議規則111条については、以下のようにあります。
(委員外議員の発言)
第111条 委員会は、審査又は調査中の事件について、必要があると認めるときは、委員でない議員に対し、その出席を求めて説明又は意見を聴くことができる。
このように、「説明・意見」とありますし、議会運営委員会では、委員外委員でも質疑できると書いてある本もあります。
また、提案者である金子議員や永末議員が自分たちで提案した議案について提案者に聞くことができないのは、その通りですが、執行部の見解や提出資料について質疑するのは、関連書籍でも例外として認められると言うように書いてあります。
いずれにせよ、執行部やなんとかして成立しないように予防線を張りまくっている模様。市民の命と財産を守るのが、市役所の仕事なのに、その姿勢はなんなんだと思ってしまいます。
なお、継続審査に反対したのは、金子議員と永末議員。これは提出してから既に半年以上経過しており、これ以上引き延ばすべきではないとの判断からでしょう。
また、今日の本会議では金子議員と永末議員以外にも私を含めて数人が継続審査に反対しましたが、賛成多数で継続審査となりました。
こうして半年経っても結論がでずに先送り。。。
残すは3月議会のみ。果たして可決成立となるのか、はたまた否決か、時間切れ廃案か?
どうなるか注目です。